イラン国内では、相当に問題が噴出しているようだ。これまでも書いてきたように、イランの法学者を集めた神権体制が、6月の選挙で二つに割れた。次いで、ハメネイ師とアハマド・ネジャド大統領との関係にも、亀裂が生じてきているようだ。
このままでいけば、イランの30年にも及んだ神権体制は分裂し、外部の介入のチャンスを作り、崩壊してしまうかもしれない。その懸念を抱いている、神権体制派の法学者たちは、少なくないようだ。
イランの強硬派を代表する、ジャンナーテイ師が最近「誰が反体制の中心なのかを明らかにし、その人物を裁くべきだ。」と言い出している。述べるまでも無く、現在法廷で裁かれているメンバーは、本当の中心的メンバーではなく、本当の中心的メンバーは、いまだに逮捕を免れているからだ。
そうしたなかで出てきているのは、つい最近ハメネイ師によって、司法のトップに指名されたラリジャニ師に、真犯人探しをさせるべきだ、という声があがってきていることだ。
述べるまでも無く、本当の反体制の中心人物は、大統領候補であり、その後、選挙結果に問題があると主張した、カロウビ師やムサヴィ氏、そして、ムサヴィ氏を支援したハタミ師だ。彼らはいまだに逮捕されず、反政府の声明を出し続けているのだ。
そして、今回の反政府の動きを見ていると、実はこの騒動の核心は、ハメネイ師とラフサンジャニ師との、対立ではないかということだ。その対立の前面に出されたのが、アハマド・ネジャド大統領であり、ムサヴィ氏だったということのようだ。
ジャンナーテイ師が「真犯人探しをやれ。」と檄を飛ばしたが、それはハメネイ師の意向なのだろうか。あるいは、ジャンナーテイ氏が裏の事情を知らずに、元気のよすぎる発言をしたのだろうか。
今回の真犯人探し要求は、今後ますますイラン国内を、複雑かつ不安定なものにしていきそうだ。