アメリカ軍より効率いいイラク治安活動

2009年8月 2日

 イラク内務省の発表を、イランのプレス・テレヴィが伝えたところによれば、7月のイラクでのテロによる死者の数は、275人だったということだ。6月では死者数が437人であり、激減していることになる。

つまり、イラク治安部隊による治安活動の方が、アメリカ軍による治安活動よりも、効率がいいということだ。

 7月の死者の内訳は223人の市民、40人の警察官、12人の兵士ということだ。加えて負傷者の数は975人の市民、93人の警察官、35人の兵士となっている。

 イラクの治安警察が逮捕したテロリストの数は400人にのぼり、殺害したテロリストは41人だということだ。

 こうなると、ますますアメリカ軍の存在は、邪魔にこそなれ、必要ないものとなろう。イラク国民は決してアメリカ軍の存在を、歓迎してはいないから、今回のように、イラクの治安部隊の方が、治安維持の上で、成果を挙げているとなると、ますます「アメリカ軍出て行け」という感情が激しくなろう。

 アメリカ軍は2011年の撤退期限後も、種々の理由を付けて駐留するつもりでいるが、居心地は次第に悪化していこう。アメリカ軍がイラク国民の目にあまり触れないように、アメリカ軍の基地内に留まるとしても、イラク国民の感情を、誤魔化すことは出来ないのではないか。

 そうなると、今度はアメリカ軍がイラク国民と政府を、テロから守ってやるのではなく、アメリカ軍や施設に対するテロが増えてくることを、警戒しなければならなくなるだろう。

 まだ時間はかかろうが、結局のところ、アメリカ軍は敗退した形で、感謝もされずに、イラクから引かざるを得まい。形式としては、イラク政府による感謝の儀式が開催されようが、イラク国民は憎みこそすれ、アメリカ軍に感謝などしていないのだから。