子供のころに受けた印象は、その人の一生に影響を、およぼす場合がる。よく「おふくろの味」と言われるが、それなどは平和的で、微笑ましいものであろう。
しかし、外国ではよくある他国家や、民族に対する憎しみの感情の教育や、偏向した歴史教育などは、一生その人を縛り付け、そのイメージから、抜け出せなくしてしまおう。
ユダヤのホロコーストは、確かに悲惨な出来事ではあるが、その教育を受けたユダヤ人は、何時まで経っても、他民族との間に、信頼関係を創って行けないのではないか。強迫観念だけが取付いて、常に他者を警戒する心理状態に、してしまうのではないか。
韓国の対日感情もそうであろうし、中国の場合もそうであろう。憎しみを教育することは、結果的に自身の心の中に、拭い去れない深い傷を、創ってしまうことになるのではないか。
その点、日本人は外国人から考えると、信じられないような平和な教育を、受けているようだ。広島、長崎の原爆について、日本人が一番鈍感なのかもしれない。中東諸国を訪問していると、それを特に強く感じる。
さて最近では、子供に対する憎しみの教育が、これまでのような口伝ではなく、テレビを介して行われるようになっている。テレビの番組を通じて、アラブとイスラエルとの戦争、そのなかで起こった、虚々実々の内容が、子供たちに、敵に対する憎しみの感情を、定着させていくのだ。
結果的には、その卑怯で残忍な敵に対しては、あらゆる手段による報復が、許されるという感覚を、固定してしまうのではないか。アラブ人の多くは、ユダヤ人について「残忍」「裏切り」「ずるがしこい」「世界の罪悪と不幸の元」といったイメージを抱いている。
その上で、最近パレスチナのガザで始まったのが、特攻テロを称賛する番組だ。このニュースはCNN が伝えたものだが、以前にも似たようなことが行われていたが、特別に取り上げられることはなかった。
たとえば、ミッキー・マウスのキャラクターを通じて、イスラエルに報復する、子供向けの番組が作られていたし、間抜けなイスラエル将校を、パレスチナの少年少女がやっつけるといった、内容のものもあった。
大人が見れば、子供向けの単純なストーリーでも、子供たちからすれば、面白くて印象深いものであろう。「すりこみ」と言う言葉があるが、テレビや漫画などを使い、まさに子供の心理の中に、敵に対する憎しみと、報復の感情を、刷り込んでしまうのだ。
イラクのエルビルで行われた、国際会議の締めくくりに「平和と愛の教育」の重要性を強調してきたが、パレスチナでもそれが一番必要なのではないか。併せてイスラエルにも。