エジプト国会議長発言の真意

2009年7月12日

少し話は古くなるが重要だと思うのでここに紹介する。それは、エジプト議会のアハマド・ファタヒー・スルール議長による「議会解散の噂」に関するコメントだ。

彼は議会の解散権は大統領にあるとした上で、野党は分裂したままではだめであり、連合すべきだと主張している。そのことにより、野党が何時でも与党に代われる力を、持てるということのようだ。

しかし、現実にはムスリム同胞団、その他の幾つもの政治勢力が、それぞれの立場を主張し、統一した野党勢力になっていない。独立系の議員は政治組織能力を持たず、政治勢力になっておらず、政治勢力を代表してもいないということだ。

アハマド・ファタヒー・スルール議長は、独立系の議員が議員の立場を続けたいのであれば、彼らは政党に参加することであり、それがいやなら職能組合や協同組合に留まるべきだと語っている。

この彼の話の意図するところは、ムスリム同胞団のメンバーが職能組合や協同組合から、国会議員に立候補して、当選していることに対する批判なのだ。エジプトでは、ムスリム同胞団の活動が禁止されており、ムスリム同胞団の名前では、政治活動が出来ないため、ムスリム同胞団員は各種組合を通じて、国会議員に立候補し、当選しているのだ。

今回のアハマド・ファタヒー・スルール議長の発言は、野党議員に向けた発言といっても、主にムスリム同胞団に対する批判であろう。もし彼が言うように、ムスリム同胞団が政党を結成して、国会議員選挙に立候補申請すれば、その政党はムスリム同胞団を母体とした政党であることから、立候補は受理されないことになろう。

次期国会議員選挙を前に、エジプト政府はムスリム同胞団の排除を、真剣に考えているようだが、今回の発言の真意はそこにあるということであろう。