イランはイスラム教原理主義国家として、他宗教徒に対し、厳しい対応をしていると思われている。アハマド・ネジャド大統領はこれまで、何度となくイスラエルの存在に、疑問を投げかけてきていることから、イランに居住するユダヤ人にとって、イランは住み難い国のように思われている。
しかし、現実はそうではないようだ。日本のテレビ番組でも、何度かイランに居住するユダヤ人のことが、取り上げられているが、彼らは本心から、イランがユダヤ人にとって、住みよい国だと思っているようだ。
7月6日に、イスラエルのエルサレムで開催された、マシュハド・ユダヤ人会議に参加した、イラン在住ユダヤ人シュロモ・ザビヒ氏は、アハマド・ネジャド大統領の方が、ムサヴィ氏よりも好ましい人物だと語っている。
彼の語るところによれば、イランでは信仰の自由が保障されており、シナゴーグに集まって礼拝することに、何の問題もないということだ。彼はイランのユダヤ人は安全が保障され、日常生活は快適で問題がない、とまで言い切っている。
マシュハドはイラン第二の都市であり、人口250万人を擁し、多数のユダヤ人が、居住しているということだ。
イラン全体では、現在25000人のユダヤ人が居住しており、以前はもっと多くのユダヤ人が住んでいた。それが、1979年のホメイニ革命が成立した後、6000人のユダヤ人がアメリカの、主にニューヨークに移住し、現在の数になったということだ。
イランが強烈なホメイニ革命を経験し、イスラム原理主義的な神権体制'(ベラヤト・ファギ)の下に運営されて、既に30年が経過した。
ややもすれば、ユダヤ人に対する弾圧があるのではないか、と思われるのだが、現実はそうではないようだ。マシュハドのユダヤ人は、ハタミ大統領の時代も、今のアハマド・ネジャド大統領の時代も、全く問題はないと言っている。
イスラム教は他の天啓宗教(ユダヤ教、キリスト教)を、尊重するように教えているが、イランはそれを正しく、実践しているということであろう。
アハマド・ネジャド大統領のイスラエルに対する過激な発言は、案外おためごかしなのかもしれない。つまり、彼は原理原則部分を、きちんと守っているということであろう。