6月24日水曜日、イランの最高指導者であるハメネイ師が、国会議員に対し現在デモを行っている反対派(ムサヴィ派)に対し、寛容の精神をもって対処するよう、呼びかけた。
しかし、そのことは今回実施され、問題となっている大統領選挙の結果を、覆すものではないとも語っている。
ハメネイ師は、国家が運営されるのは法に従ってであり、法を曲げることはない、とも語っている。つまり、現在大統領選挙の結果に対して、反対を叫んでいる人たちは、法に則って行動しているのではない、と言っているわけだ。
彼は法に従わない行動は、最終的に独裁を生み出す危険性がある、とも語っている。そして、イスラム革命の精神に戻るべきだとも語り、ホメイニ師の名前までも引き合いに出している。
つまり、ハメネイ師は現在のイランの国内状況が、極めて危険なものであることを認識し、順法精神と同時に、寛容を訴えたわけだ。
しかし、ホメイニ師の名前までも挙げ、イスラム革命の精神に戻ろう、と呼びかけた裏には、自分の自信のなさが、含まれているのではないか、と思われてならない。
以前にも書いたように、ハメネイ師はホメイニ師によって、2階級特進でイランのイスラムの最高権威に、就任している人物だ。彼以上の学識を持つイスラム学者が、多数いたこともあろう。
ラフサンジャニ師も、モンタゼリ師も、クムの宗教都市に居住する、ポスト・ハメネイと言われて噂の高いヤズデイ師も、皆、彼よりもイスラム宗教学上、高い地位にあった人たちだ。
今回、ハメネイ師が口にした、寛容の精神の呼びかけは、何処か空疎な感じがするのだが。
いずれにしろ、カロウビ師が主張するネダさんの追悼集会が、どの程度の規模で行われるのか、ムサヴィ氏の逮捕があるのか、その場合に、ムサヴィ氏が呼び掛けているような、全国規模のゼネストがおこるのか、もう少し様子を見る必要がありそうだ。