アメリカの大統領選挙で、オバマ大統領の妻ミシェル女史の貢献が、大きく取り上げられた。そしていま、イランでは今年6月12日に予定されている、大統領選挙の話題でもちきりだ。
アメリカなら大衆が集まるところ、音楽とダンスはつきものなのだが、イランの場合はそうはいかない。しかし、ミル・フセイン・ムサヴィ候補の妻、ラフナ・バルヴァルド女史の人気は、ミシェル女史のそれにも劣らないようだ。
彼女の演説会には、イランの女性や若者が押し掛け、大盛況だということだ。先日、イランの首都テヘランのアザデ・ホール((フリーダム・ホール)で開催された集会には、12000人の群衆が押しかけ、まるで人気歌手のコンサートのような、盛り上がりを見せたということだ。
他方、現役のアハマド・ネジャド大統領の側はと言えば、ハメネイ師が間接的に、支持表明をしたものの、保守派のなかでは、意見が割れているようだ。その中心的組織である、闘う聖職者協会メンバーの間では、統一見解が出せず、結果は、80人がアハマド・ネジャド大統領支持、75人は反対に回ったということだ。
イランの大統領選挙の予測は、これまで何度か出され、世論調査の結果も発表され、ミル・フセイン・ムサヴィ氏の優位説や、アハマド・ネジャド大統領の優位説が出ているが、未だ混沌状態ということではないか。
これ以外にも、他の候補の優位説も流れたが、現状ではどうやら、ミル・フセイン・ムサヴィ氏とアハマド・ネジャド氏の、一騎打ちになるのではないか。アハマド・ネジャド大統領支持者は、地方都市部が主であり、ミル・フセイン・ムサヴィ氏の支持は、大都市が中心なのかもしれない。
ミル・フセイン・ムサヴィ氏支持の理由は、彼が改革派であることに加え、1980年から1988年までの間、首相職を務めた経験と、当時困難を極めるなかで、国政を立派に果たしたということに対する、実績への評価であろう。
アハマド・ネジャド大統領は、人気を高めることを目的としたのか、再選されればオバマ大統領と、直接会って話し合いたいという、ソフトな発言をし始めている。加えて、アフガニスタン問題で、アメリカにアドバイスする、意思のあることも口にしている。
イランの大統領選挙は、今が最終ラウンドであろうか、予測はもう少し待った方がいいのかもしれない。個人的にはミル・フセイン・ムサヴィ氏が当選した方が、イラン国民にとってはいいのではないかと思えるのだが。