イラクで麻薬禍が広がる

2009年5月25日

 イラクの国内混乱は、複雑化し細分化してきているために、次第に困難さを増しているようだ。

 そのことに加え、最近は発表された、麻薬専門家の報告によれば、イラクでは麻薬が、はびこっているということだ。その種類も、中東で一般的なハシーシとアヘンだけではなく、コカインやその他の科学性麻薬も、出回っているということだ。

 イラク国内で、麻薬がはびこり始めたのは、イラン・イラク戦争が起こっている、1980年代がその第一期で、次いで、イランから来る、イラクのナジャフ、カルバラへのシーア派巡礼者によるもの、次いで、サッダーム体制が崩壊した後の時期ということのようだ。

 麻薬を用いている者には、路上生活をしている孤児や、中学生まで年齢が、低下しているということだ。現在、イラン、パキスタン、アフガニスタンといった、いわゆる麻薬の生産地、ゴールデン・トライアングルからのものが、簡単にイラク国内に、出回っているということのようだ。

 もちろん、それらの麻薬はイラクから、湾岸諸国にも流出している。いわばイラクが、麻薬の中継地点になっている、ということであろう。なかでも、バスらを中心とする、イラク南部地域は、シーア派が住民のほとんどであり、イランとの交流が活発であり、麻薬も持ち込まれやすいということだ。

 問題は、若者の多くが仕事に、あぶれているということだ。従って、若者の就職の機会を増やすことが、麻薬撲滅対策上必要であろう。同時に、学校での麻薬禍についての教育も、必要であろう。

 ある家庭の場合、花が美しいということで、庭に植えたけしが原因で、子供が麻薬中毒者になった、ケースがあるということだ。イラク南部では、家庭の庭だけではなく、麻薬栽培を行っている場所が、多数あるとも報告されている。

 外国から持ち込まれる麻薬の取締りには、専門的な知識を持つ人たちが、いなければならないが、その専門知識を持つ人たちは、サッダーム政権時代の、麻薬取締官ということになる。彼らは、麻薬犬の扱い方から、麻薬の種類、麻薬を隠し持って入国する技術を、熟知しているからだ。

 このため、イラク政府はバアス党員の、元麻薬専門官の職場復帰を、検討しなければならなくなっている。結局のところ、サッダーム体制下で、専門的な知識を有していた人たち抜きでは、あらゆる問題の処理が、不可能だということであろう。