イランの最高指導者であるハメネイ師が、アメリカによるクルド・ゲリラ支援を非難した。
彼によれば、イランの西部と北西部に居住する、クルド人によって結成されたゲリラ組織(PJAK)に対し、アメリカが資金と武器、そして組織(CIAを指しているのであろう)を持って支援し、イランに対する敵対行動を、取らせているということだ。
このイラン国内にいる、クルド人のゲリラ組織PJAKの活動は、今に始まったことではない。トルコがPKK というクルド・ゲリラ組織と戦っているように、日本ではほとんど報じられていないが、イランもPJAK というクルド・ゲリラ組織と戦い続けてきているのだ。
アメリカはトルコのクルド組織、PKKの場合とは異なり、イランの場合はPJAKに対し、公然と支援をしてきていることは事実だ。以前にもイラン政府は、トルコのPKK掃討にアメリカが協力しているのに、何故イランのPJAK掃討には、協力しないのかと不満を述べていた。
確か以前PKKも同様に、アメリカが何故PJAKと同じように、われわれを支援してくれないのかと、不満を述べたという情報があったような気がする。
問題は何故、イランのハメネイ師がこの時期に、ことさらにPJAKに対するアメリカの支援を、問題にして非難したかということだ。
アメリカはイランに対して、ハマースやヘズブラを、支援していると非難しているが、そのことに対して、イランのハメネイ師は「アメリカだってPJAKを支援しているではないかオアイコだ。」とでも言いたいのであろうか。
しかし、それほど話は単純ではなかろう。ハメネイ師の発言は、イスラエルのネタニヤフ首相が訪米中に、行ったものだということを考慮すると、どうもアメリカに対する、挑発のように思えてならない。
前に書いたとおり、ネタニヤフ・オバマ会談からは、ほとんど二人が話し合った内容が、外部に漏れてきていない。そこで敢えて、ハメネイ師はオバマ大統領を挑発し、反発させようとしたのではなかろうか。
オバマ大統領がネタニヤフ首相に語った「イラン対応のタイム・テーブルはある」発言は、説明するまでもなく、イランの対応に変化がなければ、アメリカには軍事攻撃という、選択肢があるということだ。
ハメネイ師の挑発は、イランに対するアメリカの軍事攻撃に関する、アメリカの本音を探るためのものかもしれない。