トルコPKK問題解決に向かうか

2009年5月27日

 トルコのクルド人で結成された、クルド労働党(PKK)の代表が「25年の武力闘争を終結してもいい。」と言いした。

 この発言はPKKKの代表者、ムラト・カライラン氏によって、語られたもので、イギリスのタイムズ・オブ・ロンドン紙とのインタビューで、紹介されている。

彼、ムラト・カライラン氏はPKKが、武装闘争を終了させる条件として、「クルドのトルコからの分離独立は望まない」「クルドは独自の議会を持つことを条件とする」「クルド議会はトルコ領土内に設置される」としている。

 この解決策は、多分にイギリスが長期間戦い続け、最終的に合意を見た、アイルランド闘争組織との、合意に似たものであろう。そのことは、これまでの間に、イギリスの情報部を中心とした、PKK側に対するアプローチが、あったということではないか。

 アメリカ軍がイラクから撤退して行くなかで、イラク国内は複雑さを増してきている。その中では、イラクのクルド自治政府は、できるだけPKKの活動を鎮静化させることによって、トルコの支援と保護を勝ち取りたい、という思惑があろう。

 これまで何度か、トルコの政府高官がイラクを訪問しているし、イラク政府の高官やクルド自治政府の高官が、トルコを訪問してもいるが、その話し合いの中で、次第にPKKは穏健化することが、イラク、クルド、トルコ三者から望まれていた。

 アメリカ政府やイスラエル政府などの、PKKに対する直接間接の支援も、だいぶ低下していたのではないか。そうしたPKKを取り巻く国際的な環境が、PKKをして新たな妥協点を、提示をさせたものと思われる。

 トルコ政府側も、過去2年の間に、大幅なトルコのクルド人に対する、妥協案を提供し、具体的に実施してきてもいた。たとえば、トルコの国営テレビがクルド語の放送を、24時間体制で放映し始めたことが、その典型的な表れであろう。

 加えて、トルコ政府はクルド語教育、クルド語の歌を始めとした文化活動の許可、クルド語の地名の復活などを進めてきている。

 今回の、PKKKの代表者ムラト・カライラン氏の発言は、大きな前進を生み出すものと思われる。この流れに反対する可能性があるのは、トルコ軍の強硬派だけではないか。