トルコとイランがビジネス・フォーラムをアンカラで開催し、ビジネス関係の拡大と簡易化を合意した。トルコ側からはキルサト・トズメン貿易促進大臣が、イラン側からはマスウード・ミルカーゼミ代表がサインしている。
その合意によれば、トルコとイランは合同で銀行を設立し、両国の間にはフリー・トレード・ゾーンを設置し、関税問題の簡易化、物資の移動を簡略化することに合意したということだ。
トルコは今後5年間の間に、毎年200億ドルの取引を周辺諸国との間で実現して行く方針だ。現在トルコは18・7億ドル輸出し、イランはトルコに78・4億ドル輸出している。トルコからは建築請負や種々の物資が輸出され、イランからは主に、天然ガスが輸出されている。
今後、トルコとイランとの間では、イランのガスだけではなく、ロシアの石油と中央アジアのガス輸出での、協力が進んで行くものと思われる。
NABUCCOプロジェクトでは、トルコからオーストリアに向けて、ガスが輸送されるが、これは全ヨーロッパをカバーすることになろう。また、イランが中央アジア(トルクメニスタン)のガスを、通過させることによって、このプロジェクトはより拡大するものと思われる。
さてこのことから推測すると、トルコは完全にアメリカが、イランを攻撃することも、徹底的に締め上げることも、ないと踏んでいるのではないだろうか。加えて、イスラエルもイランに対して、攻撃をする可能性はほとんどない、と判断したのではないか。
先日お伝えしたトルコ・シリアの合同軍事訓練も、結局のところ、そのことによって、トルコのイスラエルやアメリカとの関係には、大きな問題は発生しない、と思ったから実行したのであろう。
トルコが行ったシリアとの合同軍事訓練は、両国の国境地帯でのPKKを始めとする、危険分子の押さえ込みに対する協力であって、イスラエル攻撃を意図したものではないことは、イスラエルにも十分に分かっていよう。イスラエルはただ、シリアという敵国と、友好国であるトルコが、軍事訓練をしたことに対し、感情的に不愉快だったということではないか。
トルコが行ったシリアとの合同軍事訓練は、イランにとってはきわめて歓迎すべきことであったろう。あるいは、シリアとの合同軍事訓練を行った目的には、テロリストやゲリラ、麻薬密輸業者などの取り締まり協力に加え、イランとの関係改善があったのかもしれない。