イスラエルのエルサレム・ポストが伝えたところによると、いま、レバノンンのヘズブラが、エジプトを舞台に、スパイ小説並みの、作戦を展開しているということだ。
ヘズブラのメンバーが、エジプトによって逮捕された。彼の名はムハンマド・ユーセフ・サーミーで、ヘズブラのエージェントとエジプト政府は説明している。この人物については、ヘズブラのリーダーであるハサン・・ナスラッラー師も、ヘズブラの人間であることを認めている。
彼と彼の仲間は、200万ドルの現金と爆発物を所持しており、数台の車を所有し、テロを行うところであったということだ。そのテロの計画現場は、シナイ半島の観光地であるヌエイバ、ダハブ、ラファなどで、複数のビラ(一戸建て)を買い求めていたということだ。
シナイ半島でのテロ攻撃は、シナイ半島へのイスラエルからの観光客を、攻撃することにより、エジプトの観光産業にダメージを与えることを、狙ったものだということだ。シナイ半島はイスラエル国民だけではなく、ロシア人、東欧人、ヨーロッパ人の間でも、人気がある観光スポットになっている。
イスラエル国民の間では、エジプトのシナイ半島は物価が安く、しかも、サービスがよく、観光地としては人気があり、休日ともなれば3万人以上のイスラエル国民が、シナイ半島の観光地に繰り出しているのだ。
彼らヘズブラのメンバーは、アッパー・エジプトでも同じように、マンションやビラを複数購入していたし、エジプトの代表的な都市のひとつであるスエズ市にも、住宅を購入していたということだ。
ヘズブラのメンバーはこれらの住宅から、スエズ運河を通過する船舶の状況を、監視していたということだ。なかでも、イスラエルやアメリカの船舶に、特別の関心を払っていたということだ。
ヘズブラはスエズ運河に、船を沈没させて通過が出来ないようにすることも、計画していたということだ。もし、スエズ運河が使用不能になれば、欧米が湾岸諸国に、一般製品を届けることも、兵器を運ぶことも出来なくなるだけに、実行された場合のダメージは甚大であろう。
ヘズブラのメンバーはこれらの住宅を使い、新メンバーをリクルートし、訓練もしていたということだ。
エジプトはアラブ諸国の中で、最大の人口を有し、最強の軍隊を持つ国家だが、ヘズブラはそのエジプトに、何故こうまでも敵対的な行動をとっているのであろうか。それは、エジプトをかく乱し、体制を弱体化させれば、やがてエジプト国内は混乱状態に陥り、軍がクーデターを起こさざるを得なくなるからだということだ。
結果的に、エジプトは反米国家となり、イスラエルに対して、敵対的立場に立つようになる、という判断のようだ。そうなれば、ヘズブラはイスラエルとの戦いで、エジプトと共闘できるということだ。
こうした計画をヘズブラが立てているのは、実は裏にいるのはイランであり、イランは中東全域で影響力を拡大し、イスラエルを打倒することを、計画しているということだ。ヘズブラやハマースは、イランの尖兵的な立場にあるということだ。
モロッコがイスラエルとの外交関係を、絶ったのはつい最近だが、サウジアラビアもイランを目の敵にしている。エジプトもサダト大統領暗殺以降、イランとの関係修復を試みたことがあったが、結果的にはいまだに関係修復は、出来ていない。
イランはレバノン戦争時に、エジプトとサウジアラビアを非難し、ガザ戦争時にも、エジプトやサウジアラビアを激しく非難している。イランは今後も中東各国への揺さぶりを続け、体制転覆を試みて行くのであろうか。スパイ小説並みの話で面白いといっては顰蹙を買うか。