イラン大統領選挙ムサビ氏に追い風

2009年4月13日

 イランの大統領選挙が6月に行われるが、ここに来て、イラン国内各派の動きが、急を告げてきている。

 現在、大統領選挙に立候補が予定されている主要候補は、アハマド・ネジャド大統領と改革派のカロウビ氏、そしてフセイン・ミル・ムサビ氏の3人だ。

 これ以外にも、元大統領であったハタミ氏が、立候補の予定だったが、フセイン・ミル・ムサビ氏が立候補を宣言すると、ハタミ氏は改革派の候補者を一本に絞りたいとして、自身の大統領選挙への、立候補を取り下げている。

 それだけではなく、ハタミ氏はもう一人の大統領立候補者である、カロウビ氏に対し、立候補を取り下げるように働きかけた。しかし、当初、立候補にあまり気乗りしていなかったようだったカロウビ氏は別として、彼の取り巻きはそれを拒否している。

 結局、カロウビ氏は立候補し、大統領選挙を戦うことになった。彼以外にも立候補を検討していた人たちは、ここにきてムサビ氏支持を、鮮明にしてきている。たとえば、闘う聖職者協会のサイイド・レザ・アクラミ氏もその一人だし、イラン中立党のカルゴザラン氏もそうだ。

 結局、6月の大統領選挙では、泡沫候補を除けば、アハマド・ネジャド氏とフセイン・ミル・ムサビ氏の、一騎打ちになるのではないか。

 興味深いのは、本来、アハマド・ネジャド氏に近いはずのハタミ氏が、なぜこうまでも、フセイン・ミル・ムサビ氏支持に、回ったのかということだ。彼は保守派の人物であり、改革派とは距離があるはずなのだが、国際的には微笑が魅力的であったためか、なんとなく改革派、進歩派のように、受け止められていたふしがある。

 あるいは、ハタミ氏の動きは、フセイン・ミル・ムサビ氏の大統領当選後に、影響力を維持するための動きかもしれない。しかし、フセイン・ミル・ムサビ氏が大統領選挙で当選した場合、ハタミ氏の思惑通り、フセイン・ミル・ムサビ氏が彼を受け入れてくれる、とは限らないのではないか。

 現段階では、アハマド・ネジャド大統領に関する、選挙の情報はあまり流れてこないが、すでに彼は過去の人になったとでもいうのだろうか。