ぬか喜びは危険・オバマの発言の真意

2009年4月11日

 バラク・オバマ大統領が、トルコで演説した内容は、イスラム世界、アラブ世界では、きわめて評判がいいようだ。その演説の内容は、イスラム世界を敵にするのではなく、友人にして行く姿勢を示したからだ。

 同時に、パレスチナ問題でも、二国家設立を強調したと受け止められ、その二国家設立に向かう道は、アナポリス合意の踏襲だ、と受け止められた。

 しかし、こうしたイスラム世界の、バラク・オバマ大統領演説への理解は、間違いだとイスラエルの、ダニエル・アヤロン外務次官が語っている。

 ダニエル・アヤロン次官の説明によれば、バラク・オバマ大統領はアナポリス合意を支持するとは、発言はしていないというのだ。バラク・オバマ大統領が言ったのは、イスラエル・パレスチナ双方が、ロード・マップ(アナポリス合意の内容)に沿って動いて行けばいいなあ、という意味だったというのだ。

 バラク・オバマ大統領は、アナポリスでイスラエルとパレスチナ双方が合意した、ロード・マップが実行されて行くことが、ゴールだと語ったに過ぎない、ということだというのだ。

 バラク・オバマ大統領の発言が、ダニエル・アヤロン次官の言う通りであるとすれば、早晩、アラブ諸国もイスラム世界も、そのことに気が付こう。そうなれば、バラク・オバマ大統領に対する、トルコ訪問での発言が、逆にバラク・オバマ大統領に対する、不信に繋がって行く可能性があろう。

 何事も、急激な変化が起こることは難しい、そうである以上は、ぬか喜びは禁物ということであろう。もし、バラク・オバマ大統領に誠意があったとするならば、せっかくの誠意が、これでは逆になってしまうだけだ。