イラン大統領選挙はムサビ候補で決着か?

2009年4月 6日

 イランでは、第10回大統領選挙が、今年の6月に、実施されることになっている。1月にイランを訪問した折には、ハタミ元大統領の立候補が、確実視されていたし、彼はその通りに、立候補の意思を公にした。

 しかし、その後ハタミ氏は、ミル・フセイン・ムサビ氏の立候補を聞くと、立候補を降りてムサビ氏を応援する、という意向を明らかにしている。確かに、現在ムサビ氏は、ハタミ氏の支持者たちと、選挙をめぐり話し合いを行っていることから、ハタミ氏の意向は間違いなかろう。

 ここに来て、もう一人の大統領候補と言われていた人物も、ムサビ氏支持の意向を、明らかにしている。それは、テヘラン市の市長で、2005年の大統領選挙に、立候補した経験のあるカリバフ氏だ。彼はこの大統領選挙の後に、テヘラン市の市長に、推挙されている。

 カリバフ氏は大統領に、立候補する意向が無いことを、明らかにすると共に、「大統領にはハタミ氏やムサビ氏のような人たちがふさわしい」と語っている。彼は世界の市長トップ50の8番目に選ばれた、インテリ市長でもある。

 彼の本音は、大統領になるよりも、テヘラン市長の座に留まり、改革を進めたい、ということであろうか。

 これらの立候補を噂されていた人たちに加え、メフデイ・カロウビ氏も立候補を早々と宣言しているが、今後状況が推移して行く段階で、降板するかもしれない。それは、民主改革派が結集して、ムサビ氏を押す雰囲気が、出来てきているからだ。

 そうなればイランの大統領選挙は、現役のアハマド・ネジャド大統領と、ミル・フセイン・ムサビ氏の一騎打ちになるかもしれない。「現役の強み」という言葉が選挙にはあるが、イランの場合には、最高権威者たちの意向が、あることも忘れてはならない。ハメネイ師をはじめとす、最高権威者集団が、ムサビ氏の当選を許すか否かだ。

 ムサビ氏はラフサンジャニ大統領の時代から今日まで、国家予算はごく一部の者たちによって、配分されてきている。本来であれば、国家予算はマジュリス(国会)が、審議して承認するべきだ、と現在の予算の決定手順について、厳しい批判を行っている。

 イランは大改革に向かうのか、あるいは、宗教最高権威集団の権力独占が続くのか、6月の選挙はイランの大転換の、きっかけになるかもしれない、重要なものだということだ。