トルコで地方選挙が行われた。結果は、与党AKPが後退し、野党が相対的に、伸びた形となった。これをAKPの後退とみるか、否かについて考えてみたい。
与党AKPは政権を取って以来、選挙を実施するたびに躍進し、支持を増やす形になっていた。前回の選挙では、47パーセントを上回る支持を取り付け、独走態勢にも見えた。
しかし、今回の選挙では得票数が38・9パーセントと、7パーセントもの落ち込みを見せている。その反対に、CHPが8パーセント支持を増やし、23・2パーセントの得票率となっている。
他方、クルド人の政党であるDTP(クルド人の政党・民主社会党)は、全国レベルでは5・5パーセントだが、トルコ南東部のクルド地域では、圧倒的な勝利となっている。
全体的には、AKPがいまだに強い支持を得ているが、世界的な経済の悪化が、AKPにとって選挙での不利な条件を、生み出したのであろう。
今回の選挙結果を受けて、クルド人の議員の地方・中央政府レベルで、発言力が強まることが予想されるが、これは、トルコ全体にとって、いいことではないのか。
つまり、武力闘争を展開するPKK (クルド労働党・武力闘争派)ではなく、トルコの政治に正式に参加するDTPが、クルド人の支持を集めたということは、今後、クルド問題が話し合いによって、解決されていくということを、予測させるのではないか、と思われるからだ。
ギュル大統領のイラク訪問と、その結果としての、イラク中央政府、クルド自治政府のPKKに対する締め付けが、今後、DTPをしてトルコのクルド人を全面的に、代表させる形になっていくものと思われる。
AKPは、今回の選挙結果を受けて、方針転換を考えると言っているが、それほど大きな方針転換は、出てこないのではないかと思われる。