イラクの内紛は再発するのか・アメリカの意向は

2009年3月30日

 アメリカのバラク・オバマ大統領が最近、気になる発言をしている。彼はイラクの石油に対する対応が不十分であり、治安が改善されても、アメリカ軍はイラクにとどまる、という趣旨の発言をしているのだ。

 過去数日間、イラクの首都バグダッド市では、武力衝突や爆弾テロが、頻発し始めている。しかも、その犠牲者の数は何十人規模であり、テロの規模が大きいことを、意味している。

 武力衝突は、シーア派とスンニー派との間で起こり、両宗派間の敵対感情を、あおっているようだ。イラク覚醒グループとイラク軍の武力衝突では、3人が死亡し15人が負傷するというものだった。

 これらのイラク国内での衝突は、イラク人の間での、いがみ合いの結果なのか、あるいは、外部からの働きかけによるものなのかは、定かではない。イラク国内からの報道によれば、旧バアス党メンバーによる武力行使、という表現が目立ち始めている。

 つまり、あくまでもイラク国内のスンニー・シーア派間の勢力争いが、嵩じたものだ、と言いたいのであろうか。

 しかし、他方には先に書いたように、イスラエルやイランの都合が、あることも事実だ。両国はイラクの治安が悪化し、結果的に、アメリカ軍の駐留が長期化すれば、それにこしたことはない、と考えているのではないか。

 アメリカもアフガニスタンへのテコ入れ、とは言ってはみたものの、アフガニスタン情勢は、極めて不安定であり、制御が難しいことを、知っているはずだ。最近、アフガニスタンのカルザイ大統領の任期は、次の選挙時まででいい、という意見が出始めてもいる。

 その後は、再度アフガニスタンの各派による、合従連衡が起こり、情勢は不安定化する、ということであろうか。カルザイ氏の任期を、次の選挙までと区切ろうとする勢力は、最高裁判所だが、この意見は反カルザイ派からも、出ているのだ。

 そうである以上、アフガニスタンは次の選挙時の8月までに、ますます混乱してこようし、そうしたなかでは、アメリカが軍を増強する相談も、軍事行動を打ち合わせる相手も、アフガニスタン側にはいなくなる、ということではないのか。

 それなら、アメリカ軍はイラクの国内情勢に、まだ不安があるとして、イラク国内にとどまった方が、いいのかもしれない。