アフガン対応でイランが必要になった欧米

2009年3月28日

 アメリカの大統領がブッシュ氏から、バラク・オバマ氏に代わってなお、アメリカはアフガニスタンを、何とかしたいと考えているようだ。

 しかし、バラク・オバマ大統領にとっては、アフガニスタン対応が、どんどん困難になってきている。アメリカ軍の空輸の基地であった、キルギスのマナス軍事基地は、キルギス政府の拒否で使用不可能となっている。

 加えて、パキスタンからアフガニスタンに抜ける、幹線道路にかかっていた橋が爆破され、トラック輸送が非常に困難になっている。そのことに加え、パキスタン北西部の、アフガン向け貨物集積地のトラック輸送ターミナルに、ロケット攻撃が行われ、使用不可能になったという情報が、私のところに昨日届いている。(パキスタン経由のアフガン向け貨物は、全体の75パーセントを占めている)

 こうした状況下では、アメリカがイランと直接交渉して、協力を仰ぎたいところであろうが、ことはそう簡単ではないようだ。したがって、最初にNATO がイラン側に接近して、アフガニスタン向けの輸送路を、提供してくれるようイランに交渉し始めるだろう、という予測を書いたが、現実にNATOはそう動き始めたようだ。

 先週の木曜日に確認された情報によれば、NATOとイランとがブリュッセルで直接交渉を行ったようだ。もちろん、テーマはアフガニスタンの治安、ということだ。

 アメリカもNATO とイランとの直接交渉を機に、イランへの接近を早めることになろう。既に、アメリカの高官は「イランがアフガニスタン問題解決の上で、重要な役割を担っている」と語っている。

 イランが何処まで、このNATOとアメリカの要望に応えるのか、何を交換条件として突きつけるのか、これからの欧米とイランとの交渉は、実に興味深いものになろう。その成り行きを見ていれば、アメリカの現在の実力が、どの程度なのかと、今後の中東情勢が、見えてくるような気がするのだが。