1月に起こったスーダン空爆の奇々怪々

2009年3月27日

今年の1月に、スーダンで輸送用トラックが空爆される、という事件が起こった。その空爆を行ったのが、誰なのか今日なお、不明のままになっている。

 一部からは、アメリカ軍が空爆したという情報が流され、他からはイスラエル軍機によるものだ、という情報が流された。もちろん、アメリカ政府はこの空爆に、何ら関与していないという声明を、即座に出し反論している。

 それでは、空爆はイスラエルによって行われたのか、ということになるが、イスラエル側は否定も肯定もしない、あいまいな状態を続けてきていた。しかし、最近になって、イスラエルのオルメルト首相が、意味深長な発言をしている。

 オルメルト首相は、イスラエルにとって危険であれば、世界中のどこでもそれを阻止する行動を、起こせると語ったのだ。確かに、イスラエルは1981年にはイラクのオシラク原発(タンムーズ原発)を空爆しているし、2007年にはシリアの核施設に、空爆を敢行し破壊している。

 イスラエルは、イスラエルが必要であると判断した場合は、何の躊躇もなく外国に対して、攻撃を加えてきている、という事実を忘れてはなるまい。

 それでは、スーダン空爆の必要性があったのか、ということになるが、各方面から流れてくる、情報に沿って考えれば、無理からぬことかもしれない。スーダンはイランからの、中東諸国への武器密輸の、重要拠点になっていたからだ。

 スーダンでバシール政権が誕生して以来、スーダンとイランは、イスラム的革命国家として友好関係にある。スーダンはイスラミストの軍事訓練キャンプも、10か所以上設置していると、西側情報機関は見ている。

 イランが中東各国、なかでもレバノンのヘズブラや、パレスチナのハマースに対し、資金や武器を提供してきたことは、広く知られているが、このイランから提供される武器は、ペルシャ湾を経由し、イエメンに届き、次いでスーダンの紅海に面した、ポートスーダン港に運び込まれ、シナイ半島からガザに、送られているということだ。 

 シナイ半島では、現地のベドウインが現金やレバノンのハッシッシを受け取り、密輸を行っているということだ。

 この話がどこまで正確かは別にして、イスラエルにとっては当然攻撃しなければならない、輸送トラック群であったろう。しかし、スーダン政府は空爆されたトラックには、アフリカ各国の人たちが乗っていたのであって、武器が積まれていたのではないと主張し、空爆を非難している。現場の写真が公開されれば、誰が嘘を言っているのか、一目瞭然だと思うのだが。