イスラエル労働党の連立内閣参加の意味

2009年3月25日

 さんざん混乱し、結成があやぶまれていた、ネタニヤフ氏(リクード党)を中心とする連立政府が、最後の段階で労働党との連立に成功し、結成されることになった。

 労働党内部では、バラク党首のリクード党との連立参加をめぐり。白熱した議論が交わされたようだ。結果は、680人の党員代表のうち、507人がリクード党との連立を、支持することとなり、連立参加が可決された。

 労働党の中の連立参加反対派からは、バラク氏があくまでもイスラエルの軍事部門を、牛耳りたいがためだ、という意見があり、労働党の基本方針に反するものだ、という意見もあった。

 こうした、リクード党との連立に反対する党員に対し、バラク氏はネタニヤフ氏を恐れていないし、彼のイチジクの葉っぱになるつもりもない、わが党は平和路線を推進するために、連立政権に参画するのだと語っている。

 これまでリクード党は、シャス党の参加があったが、イスラエルの国会クネセトの、120人の過半数には満たなかったことから、組閣があやぶまれていたが、今回の労働党の参加で、同党が13議席を有していることから、連立議席が66議席となり、過半数を確保し、連立が成立したわけだ。

 問題は、バラク氏がなぜ最後の段階で、連立に参加することを決めたのか、ということだが、バラク氏はネタニヤフ氏の強硬路線に対し、ブレーキをかけたい、と考えたのであろう。

 同時に、バラク氏は新生イスラエル政府が、イスラエルの右派政党だけによって構成されたのでは、対外的に悪いイメージとなり、イスラエルにとって不利になる、とも考えたのであろう。

 加えて、バラク氏はイスラエルが現在置かれている立場は、きわめて危険な状態だとも、判断したのではないか。その原因は、オバマ政権の誕生、アメリカの金融破綻、欧露の反シオニズムなどがあるのではないか。