ガザ戦争の後、存在感を高めているハマースについて、イギリスの議員がアメリカやイギリス政府に対して「パレスチナの抵抗組織ハマースの存在を認め、しかるべき対応をすべきだ」という意見を主張し始めている。
同様に、トルコ政府やエジプトのムバーラク大統領も、ハマースを正式な交渉者として、テーブルにつけるべきだという意見に、傾いてきている。アメリカの一部にも、同様の意見が出始めている。
つまり、ガザ戦争を戦い抜いたハマースは、戦争後もガザ住民から強く支持されていることに加え、マハムード・アッバース議長が支配する西岸地区でも、支持を高めているという実情を、各国の識者たちは認めての判断であろう。
パレスチナ人を対象にした、世論調査などの結果をみると、現段階でパレスチナ自治政府議長選挙を実行すれば、確実にハマースのイスマイル・ハニヤ首相が、マハムード・アッバース議長に勝利するだろうということだ。
ガザの復興に向けて、世界各国は膨大な資金援助を合意したが、マハムード・アッバース議長の率いる、ファタハが運用したのでは、汚職だらけになり、世界の好意の援助も、胡散霧消する危険性が高いということを、各国も十分に認識しているということでもあろう。
結果的としてガザ復興は、なかなか思うように進展していない。それで苦しむのは、述べるまでもなくガザのパレスチナ住民、ということになろう。そこでガザを実効支配している、ハマースを含む統一政府をパレスチナ側は、一日も早く結成するべきだ、ということになるのだ。
こうしたアラブ諸国や欧米の動きを察知して、かつてガザの治安を担当していたムハンマド・ダハラーンが、ハマース支持の意見を述べ始めている。彼の立場の変化は、パレスチナ内部の風向きや、世界の風向きを敏感に察知しての、対応変更であろう。
彼はアメリカが使い勝手のいい人物として、珍重してきた人物であることを考えると、アメリカ政府の中にも、ハマースに対する一定の評価が、生まれてきているということではないか。
これからは、ハマースがパレスチナ問題の主役の座に、上ってくるかもしれない。そのことを考えて、今の段階で、日本の議員がシリアに出向き、ハマースのリーダーであるハーリド・ミシャアルと、接触を取ってはどうか。