イスラエルミサイルでイラン攻撃という強がり

2009年3月18日

 イスラエルが自国の、ジェリコ-Ⅲ長距離ミサイルで、イランの核施設を攻撃できると、言いだしている。

 確かに、ミサイルの性能からすれば、イランの核施設まで届くのだろうが、そう話は簡単ではない。イスラエルが放つミサイルは、イラク、シリア、ヨルダン、サウジアラビアなどの上空を、通過しなければならないからだ。

 もちろん、これらのどの国もイラン攻撃に、自国の空域をイスラエルのミサイルが、通過することを拒否しよう。もしそれを看過すれば、その後のイランの報復が、恐ろしいからだ。

 ミサイルばかりか、爆撃機の通過も、当然認めないことになろう。それを強引にイスラエルが進めれば、国際問題となり、ガザ戦争時と同じように、イスラエルは世界から、非難を受けることになろう。

 イスラエルのミサイル攻撃には、もう一つの問題がある。それは、イランもイスラエル同様に、長距離ミサイルを保有しているということだ。したがって、イスラエルがイランをミサイル攻撃すれば、イランもミサイルによる、イスラエルに対する、報復を行うという前提で、考えなければならないということだ。 

 つまり、イスラエルはイランの核施設が、やがては核兵器の製造につながるので、いち早くこれを破壊したいと思ってはいるが、そう簡単ではないということであろう。アメリカも現段階では、イスラエルによるイランに対する、単独攻撃を、決して歓迎してはいない。そうなると、アメリカまでも敵に回して、イスラエルはイラン攻撃を、するというのだろうか。

 イスラエルが空爆ではなく、ミサイルによるイラン攻撃を語り始めたのは、イスラエル国内向けの強がりではないか。もし、こんな作戦が実行されれば、イランとイスラエルとの間に位置する、イラク、シリア、サウジアラビア、ヨルダンなどに、どちらかのミサイルが落下する、という危険もあろう。

 物事は予期できない方向に、推移することもあるから断定はできないが、今回のイスラエルのミサイルによる、イラン攻撃については「強がり発言」と受け止めたいものだ。