アメリカのヘッジ・ファンド問題が発端で、アメリカを始め、世界中が金融危機に追い込まれた結果、アメリカの中では、ユダヤ人の金融業者が主犯だという意見が、出てきているという話が、伝わってきている。
そのため、オバマ政権はユダヤ人やイスラエルとの関係を、再考するという話も漏れてきている。それらの話が、何処まで信憑性があるのかについては、判断できないが、少なからぬ変化がアメリカとイスラエルとの間に、生まれてきてはいるようだ。
最近、イランの核兵器製造の危険性について、アメリカとイスラエルとの見解が、全く異なってきている。イスラエルはイランの核が、近い将来製造され、きわめて危険なものだと判断し、世界に対する脅威だ、と主張している。しかも、イスラエルはイランが核兵器を造るのは、あと1-2年後だとも予測しているのだ。
したがって、イスラエルは出来るだけ早く、イランの核施設を破壊しなければ、危険を取り除くことが出来なくなる、と訴えている。核兵器が完成したら、もう打つ手が無くなる、とイスラエルは考えているようだ。
他方、アメリカは最近になって、イランの核兵器製造について、だいぶトーン・ダウンしてきている。そうはいっても、イランが核兵器を製造することは、無いだろうとは考えていないようだが、製造には、まだだいぶ時間がかかる、と考え始めているようだ。
イランのウラニュームは濃縮程度が低く、とても核兵器を造れるレベルのものではない、と言い始めている。確かにそうだろう。イランのウラニュームの濃縮が、そんなに速いテンポで、進んでいるとは考えられないし、たとえ進んでいたとしても、それを兵器にするには、まだだいぶ時間がかかろう。
しかも、その核兵器をミサイルに搭載して、所定の場所まで運べるようにするには、まだ間時間が必要なのではないか。そのうえ、核兵器の管理には莫大な金がかかるということだから、そんな無駄をイランがするとは思い難い。
イランにとって、最も得策なのは、核兵器を造るのではないかと、世界中の国々に思われる状態が、続くことではないか。その疑惑がある間は、世界はおっかなびっくりで、イランに対応することになるからだ。
アメリカがここに来て、イランの核兵器製造に関して、急にトーン・ダウンし始めたのは、イランとの間で当分は戦争をしたくない、という判断からかもしれない。本音ではいつか叩きたいと思っていたとしても、いまは緊張をあおらないほうがいい、と思っているからかもしれない。
いずれにしろ、イスラエルが期待していたような、アメリカの支援を受けた形での、イラン攻撃はだいぶ非現実的に、なってきているのかもしれない。ただし、そうした状況をイランが甘く見て、限界点をこえ行動を取れば、話は逆戻りする危険な状態ではないか。