1月にイランを訪問した折に、旧知のあるイラン人高官と話をした。彼に最初に質問したのは、ハタミ師の大統領選挙へ立候補の可能性だったが、彼はあっさり立候補するだろうと答え、その後に、現実にハタミ氏は、大統領選挙に立候補宣言をした。
しかし、彼はハタミ師とアハマド・ネジャド大統領、そして国会議長のラリジャニ氏は、いずれも同じボートに乗っている人たちであり、顔が違うだけで政策に違いはない、と厳しい評価を聞かせてくれた。
そこで、誰が大統領選挙に出ることが出来て、民主化を進めるうる人物かと聞くと、彼はムサビ元首相の名前を挙げた。そして、ムサビ氏が大統領になれば、たぶんイランの政治は変わるだろうと語っていた。
ここで私が、大統領選挙に立候補できるという条件をつけたのは、イランの大統領選挙や国会議員選挙では、宗教界のお墨付きをもらえない人は、立候補できない制度になっているからだ。
ムサビ氏はホメイニ革命あとの、元首相経験者であり、イランの最高会議のメンバーでもあることから、大統領候補者として不適格の判断を、下されることは無いだろう。
彼のほかにも、マハデイ・カロウビ師も立候補するようだが、今度の大統領選挙の目玉候補は、ムサビ氏ではないのか。もし、彼が大統領に当選することになれば、対米姿勢にも変化が生まれてくるのではないか。もちろん、イラン国民の間で熱烈に支持されている、核開発については、ムサビ氏も遂行すると発言してはいるが。
アメリカも最近では、だいぶイランとの関係修復を、考えているようだ。アメリカの国家情報機関のデニス・ブレア氏は、イランのウラニュームが、核兵器を作れる段階にまで、濃縮されていないと語っている。つまり、イランは核兵器を製造する段階にはない、という意味の発言をしてもいる。
6月12日に実施される、イランの大統領選挙までには、相当の紆余曲折があるのではないか、という予測をしたくなる。いずれにせよ、無駄な流血破壊は何とか避けて欲しいものだ。