イスラエルがトルコに謝罪

2009年2月22日

 イスラエルのガビ・アシュケナジ准将が、イスラエルの、ナショナル・デフェンス・カレジで行った講演のなかで、トルコを非難する発言をして、問題になっていた。
 その問題の発言とは、「トルコがアルメニア人を虐殺したこと」「クルド人に対する弾圧をしたこと」「北キプロスを軍事支配していること」の部分だった。
 これらの問題が、いまの時期に、ことさらに取り上げられたのは、トルコのエルドアン首相が、ダボスで開催された、ワールド・エコノミック・フォーラムの席上で、イスラエルのペレス大統領を非難し、退席したことに、起因しているのであろう。
 ガビ・アシュケナジ准将が公園の中で指摘した、トルコの「罪」については、トルコ側には独自の解釈があるのだ。アルメニア問題については、ロシアにそそのかされて、ロシア側についたアルメニア人が、追従しないアルメニア人を殺したのであって、主たるアルメニア人虐殺の責任者は、トルコ軍ではないという見解だ。もちろん、一部のアルメニア人殺害については、トルコも認めているが。
 クルド問題については、トルコ政府に言わせれば、トルコ国民として平等に扱うことを推進してきている。それに反対しているのは、あくまでもPKKのような、一部の者たちだということになる。
 キプロス問題については、ギリシャもトルコも、両国の民族がキプロスに居住しているのであって、ギリシャ側だけに正義があるのではない、ということであろう。したがって、キプロスがギリシャ人とトルコ人によって、南北が支配されている以上、トルコ人の安全を守るためには、軍事的な支援も必要だ、ということになろう。
 今回のガビ・アシュケナジ准将の発言は、トルコとイスラエルとの間で、大きな外交問題にまで発展し、トルコ側は謝罪を求め、在トルコ・イスラエル大使にも、説明を求めている。
 結果的に、イスラエル側はトルコに、謝罪する形になった。それは、トルコがイスラエルにとって、地域で最も重要な、友好国だからであろう。それはイスラエルはトルコと、緊密な軍事協力関係にあり、情報の交換、海軍の合同演習、イスラエル機のトルコ領空での訓練などがあり、しかも、トルコはイスラエルの軍需産業の上得意客でもあるのだ。
 アラブ諸国は、今回のトルコとイスラエルのやり取りが、どう決着つくのかに、注目していたものと思われるが、この結果を知り、溜飲を下げていることであろう。そのことは、トルコのアラブ諸国に対する発言力が、今後ますます強まって行くことと、トルコとアラブとの経済関係の拡大が、期待されるということでもあろう。