欧米はハマース認知に向かっている

2009年2月21日

 アメリカの中東特使ジョージ・ミシェル氏は、ファタハとハマースによる統一パレスチナ政府が出来ることを、希望すると発言した。これは今までの、アメリカ政府の立場とは、異なるものだ。

 ブッシュ政権下では、ハマースは相手にされず、アメリカが対応するのは、あくまでも、マハムード・アッバース議長が率いるファタハであり、現在の西岸だけを支配する、パレスチナ自治政府だった。

 ジョージ・ミシェル特使が、ファタハとハマースからなる、パレスチナ統一政府の結成を即すということは、オバマ政権に変わってからの、新しいアメリカの中東対応であると同時に、パレスチナ対応ということだ。

 もちろん、ジョージ・ミシェル特使は、ハマースがイスラエルの存在を認め、暴力を否定し、これまでのイスラエルとパレスチナの間で交わされた、全ての合意を尊重することを求めてはいる。

 このジョー氏・ミシェル特使の発言から、アメリカのオバマ政権はブッシュ政権とは異なり、現実的にパレスチナ人に大きな支持を得ている、ハマースを無視しては中東和平の根幹である、パレスチナ・イスラエルの交渉は進まない、という判断を下したのであろう。

 このジョージ・ミシェル特使の判断と発言が、今の時期になされたということは、これから誕生するであろう、ネタニヤフ氏を中心とする、新イスラエル政府に対する、厳しいメッセージということではないか。

 アメリカはあくまでも現実を踏まえ、問題の解決に助力して行く、という姿勢であろう。それに、ネタニヤフ氏あるいはツビ・リブニ女史がどう答えて行くのか、関心が持たれる。

強硬派のネタニヤフ氏といえども、アメリカの意向を無視して、問題に対する強硬な対応と,ハマース無視の姿勢は継続し難いのではないか。

時をほぼ同じくして、シリアのダマスカスでは、フランスの議員2名が、ハマースのトップである、ハーリド・ミシャアルしに会ってもいるのだ。つまり、アメリカもヨーロッパも、ハマース認知に向かっているということだ。