三国家案はイスラエルに負担多すぎる

2009年2月20日

 今まで、イスラエル政府はパレスチナ地方を、二つの国家に分ける二国家案を掲げて、パレスチナ側と和平交渉をしてきた。つまり、イスラエルという国家と、パレスチナという国家だ。

 しかし、その案には無理があるとして、イスラエルとパレスチナが一体となった、一国家案が飛び出してきた。それはエルサレムをどうするか、というイスラエルとパレスチナとの和平の、根幹にかかわる問題が、存在するためだった。

 イスラエルの多くの国移民と政治家は、エルサレムを不可分のイスラエルの首都と主張しているし、パレスチナ側も東エルサレムは。将来のパレスチナ国家の首都になるのだ、と主張し続けてきている。

 結局、イスラエルがたどり着いた結論は、エルサレムを分割せずに、パレスチナ問題を解決する方法は、イスラエルとパレスチナが一体となった国家を、創ればいいというものだった。

 しかし、この考え方にも問題があった。イスラエルのユダヤ人人口の増加率に比べ、はるかにパレスチナ人人口の増加率が高いからだ。パレスチナ人が数十年過ぎると、統一された国家のマジョリテイになり、議会も政府の職員も首相、大統領職にさえ、パレスチナ人が就いてしまう、可能性が出てくるのだ。

 今度は、ガザを独立した国家と認め、西岸にもパレスチナ国家を設立させ、イスラエル国家と三つの国家が誕生すればいいという考えだった。確かにガザはパレスチナ自治政府の意向に沿わず、独自の動きをしている。分断すればパレスチナの力も弱まるというのが、この考えの基本にあるのであろう。

 しかし。そうなるとイスラエルはガザ・パレスチナ国家と西岸パレスチナ国家を、同時に対応しなければならないことになるのだ。この二つの国家は時として連帯して、イスラエルに向かってくることもあろう。

 結局、一国家案も二国家案も三国家案も、現実的には困難を伴うということになる。そうであるとすれば、イスラエルには和平への意向があるとして、現状をずるずると引きずっていくのが、一番いいのかもしれない。そのなかで、二国家論や三国家論を持ち出すことによって、イスラエル側はパレスチナに、内部対立を起こさせることができ、時間稼ぎはできよう。