ペトレアス将軍の悲鳴は米のイラン対応に影響するか

2009年2月15日

 イラクを含む中東地域の、アメリカ軍総司令官であるペトレアス将軍が、悲鳴とも取れる訴えをしている。

 彼によれば、イランはアフガニスタンのタリバンをサポートしており、武器も与えているということだ。そうなると、アメリカ軍が今後、ますますアフガニスタン対応で、苦しい状況に追い込まれる、ということであろう。

 既に報告したように、アフガニスタンのアメリカ軍やNATO に対する、物資の供給は、パキスタンからの陸路と、キルギスタンからの、空路に頼っていたが、キルギスタンは同国で、アメリカ軍が使用していた、マナス空軍基地の使用を認めなくなった。

このこととあわせ、パキスタンからアフガニスタンに抜ける、幹線道路にかかる橋が破壊されたことで、陸路の輸送も不可能となった。そうしたなかで、イランがタリバンに対して、支援を送るということは、アメリカ軍にとってもNATO軍にとっても、致命的な打撃となりかねない。

ペトレアス将軍はイラク作戦を通じても、イランのイラク国内シーア派に対する介入や、武器等の供与ということを、現場で見てきており、これ以上放置したのでは、アメリカ軍が危険にさらされる、と判断したのではないか。

しかし、オバマ政権はイランとの緊張を、緩和させていきたい、と考えているようだ。昨今のアメリカ政府の言動は、それを感じさせるものが多い。他方、イランもアメリカとの直接対話と、関係改善へのシグナルを送っている。

アメリカがイランとの関係を改善することによって、アフガニスタン作戦を成功させるべきなのか、あるいは、イランを敵視し、独自の力でアフガニスタン作戦を、成功させるべきなのかが、いま問われているということであろう。

イスラエルはアメリカのオバマ政権が、イランとの接近を始めていることに苛立ち、単独ででもイランに対する、空爆攻撃をかけそうな雰囲気にあるが、アメリカ軍の一部とイスラエルが、連携することは無いのか、気になる。

ただ、アメリカ国内では、イラクからアフガニスタンに、アメリカ軍の作戦が拡大している状況を、快く思っていない軍人が少なくない。ペトレアス将軍の悲鳴は、単なる悲鳴で終わる可能性がある。その方が得策なような気がするのだが。