イスラエル選挙カデマ・リクード党の勝利宣言

2009年2月11日

 2月10日に行われたイスラエル選挙で、ツビ・リブニ女史が率いるカデマ党と、ネタニヤフ氏が率いるリクード党が、共に勝利宣言をした。つまり、両党がトップになった、ということであろうか。

 カデマ党がどうやら289議席を確保し、議席獲得数ではトップの座を占めたようだ。リクード党は27議席を獲得し、第2位の政党になったたようだ。問題はここからだ。カデマ党がトップになったのはいいが、連立を組む予定の労働党は13議席で、前回の19議席から、大幅に後退している。

他方、リクード党と連立を組む予定の、イスラエル・ベイトヌ党は11議席から、15議席に議席数を増やしている。したがって、カデマ党が労働党と連立すれば、最低議席412議席であり、あとは穏健派の少数政党を、どう取り込むかということになる。

リクード党側はやはり412議席を獲得して、右派の少数は政党を取り込んでいくと思われ、一部ではリクード党の連合が、62議席程度を獲得するだろうと予想されている。

そうなると、ペレス大統領が長年構想してきた、和平路線は完全崩壊し、リクード党を率いるネタニヤフ氏の強行路線に、イスラエルは率いられて行くことになる。そうなれば、イスラエルとアラブとの和平は、全く希望が持てなくなるということだ。

しかし、ネタニヤフ氏が連立に成功し、イスラエル議会クネセトを、リードすることになった場合、彼はあくまでも、これまで主張してきたような、強硬姿勢を貫いて行くのだろうか。必ずしもそうではなかろう。

今回のガザ戦争は、イスラエルのイメージを、世界的に悪化させた。世界中から、イスラエルこそがナチであり、虐殺の主犯だと非難されている。イスラエルが世界に訴え続けてきた、ホロコーストについても、厳しい反論が世界中から出始めてもいる。

キリスト教の総本山バチカンも、イスラエルを非難する立場を明確にした。アメリカのオバマ大統領は、中東の民主化にあまり関心を払わない方針のようだが、それはアラブ諸国にとっては好都合でも、これまで中東で唯一の民主主義国家を、売り物にしてきたイスラエルにとっては、必ずしも歓迎できることではあるまい。

それどころか、オバマ政権はイスラエルに対して、これまでの歴代のアメリカ大統領よりも、厳しい注文を出すのではないかと思われる。それだけ、アメリカはいま弱っており、湾岸諸国の資金を必要としているからだ。

もし、ネタニヤフ氏がイスラエルの首相になれたとしても、これまでの主張とは少し異なる、トーン・ダウンした政策を、展開して行くのではないかと思われる。そうでなければ、イスラエルは完全に世界で孤立してしまおう。そのことは、イスラエルの危険に繋がるからだ。