イラクの地方選挙は、おおむね成功であったようだ。この選挙では、あまり問題もなく、一部で表計算のし直しが行われたが、武力の行使を含むトラブルにまで、発展はしなかった。
選挙結果は、マリキー首相の所属する政党が、全国的に好結果を出し、今後のイラク政治が、安定化に向かう希望を、抱かせている。アメリカ政府も選挙結果に、すこぶるご満悦の様子で、選挙の成功を称賛するメッセージを、マリキー首相に送っている。
この選挙の結果を受けて、マリキー首相はなんとかイラクの民主化、国内対立の解消に、取り掛かろうとしているようだ。その最たるものは、サダム政権時代の要職にあった、バアス党幹部をどう処遇するか、ということであろう。
このバアス党幹部は、現在アラブ諸国に亡命しているが、イラク政府が彼らとの、コンタクトを始めたのだ。そのため、イラク政府は、交渉団を多くのイラク難民の居住する、アラブの主要都市、ヨルダン、シリア、エジプト、レバノン、イエメンの各首都に送った。
イラクのマリキー首相がここまで、旧バアス党幹部との交渉を、本格的に始めたのは、自信のなせる技であろうか、あるいは焦りからであろうか。
旧バアス党の幹部も、そろそろバスに乗らなければ、イラクの新しい流れに乗り遅れてしまい、永久に亡命者の地位に、甘んじることにもなりかねない、ということから、妥協が生まれるかもしれない。そうあってほしいものだ。