イスラエルのオルメルト首相とリブニ外相が、パレスチナ受刑者の大量釈放を合意した、とエルサレムポストが伝えたようだ。
それによると、イスラエル政府はハマースが要求していた、372人の受刑者の釈放要求のうち、350人を釈放するようだ。そのなかには、ファタハの英雄マルワーン・バルグーテイ氏も、含まれているということだ。
この決定は、オルメルト首相とリブニ外相が、イスラエルで近く行われる、統一地方選挙で、イスラエル国民の支持を、取り付けることを目的にしている、という評価がなされている。もちろん、このパレスチナ人受刑者の釈放は、パレスチナ側が人質に取っている、イスラエル兵ギラド・シャリト氏と、交換に行われる、予定になっている。
イスラエル側はこれまで、12000人を越えるパレスチナ人を、逮捕し投獄し続けてきているが、今回の釈放でそのうちの、10パーセント程度が帰宅できることになる、ということだ。
問題はこのパレスチナ人受刑者釈放のなかに、マルワーン・バルグーテイ氏が含まれているという点だ。もし、これが現実に実行されれば、困るのはマハムード・アッバース議長であろう。
マハムード・アッバース議長の支持率は、ガザ戦争を契機に、大幅に低下しているが、そこに、パレスチナ人の多くから支持を受けている、マルワーン・バルグーテイ氏が釈放されれば、パレスチナ人の支持は一気に、マハムード・アッバース議長から、マルワーン・バルグーテイ氏に、移ることが予測される。
こうなれば、マハムード・アッバース議長が、自身の立場を守ろうとするのであれば、マルワーン・バルグーテイ氏の暗殺、ということも考えるかもしれない。そうなれば、パレスチナ人同士で内紛が起き、イスラエルは当分の間、高見の見物が出来るであろうし、ガザ戦争をめぐる、イスラエルに対する国際非難も、薄れることになるのではないか。