イラク地方選挙無事終了したが

2009年2月 1日

 イラクで地方選挙が実施された。シーア派の最高権威者であるシスターニ師が、投票への参加を呼びかけたこともあり、高投票率で終えたようだ。この地方選挙には150万人以上の有権者が参加し14の県で実施された。
 選挙の投票所では、テロなどはほとんど起こらず、特別な問題もなく、ほぼスムーズに行われた、という報道があった。例外は、バグダッド東部の投票所でビルの上から、発砲するという事件だけだったが、けが人が一人で済んだようだ。
 この結果に、マリキー首相は久しぶりに、胸をなでおろしたのではないか。同時に、多くのイラク国民が、アメリカ軍やアメリカの警備会社の存在が、必要なくなった、と考えているものと思われる。
 そうした雰囲気もあって、マリキー首相はブラック・ウオーター社との、治安維持契約を、延長しないと語ったのではないか。これまでの膨大な犠牲者が出たことを考えれば、アメリカ軍、アメリカの警備会社の存在は、悪魔のようなものであったのであろう。
 しかし、問題が相当部分解決したとは、考えるべきではあるまい。投票者のほとんどが、地域のリーダーの意向にそって、投票を行っているし、その投票結果は、地域の権力者たちによって、どうにでも操作、改ざんされる危険性があるからだ。
 したがって、選挙の結果が出た後で、部族間の武力衝突が起こる可能性は、否定できない。その武力衝突が起こった際に、イラクの警察や軍が、どの程度自力で制御できるかが問題だ。
 もし、選挙結果がごまかし無しに発表され、各部族が選挙結果に納得し、暴力事件が起きなければ、選挙は大成功であろう。もし、武力衝突が起こっても、イラク警察やイラク軍が、それを独自に制御できれば、まあまあの成功ということになろう。
 イラク選挙が何とか、まあまあで終了ことを望む。