トルコのエルドアン首相が、自分の発言時間が、イスラエルのペレス大統領の、半分にも満たない段階で、制止されたことに腹を立て、ワールド・エコノミック・フォーラムの会場から、退席したことは既にお伝えした。
このニュースは、日本のマスコミでも取り上げられ、知る人は多いだろう。ところで、このエルドアン首相のマナーをわきまえない、蛮行とも思える行動に、トルコ国民は歓喜し、エルドアン首相が帰国すると、多くの国民が彼を大歓迎し、あたかも凱旋将軍を迎えるような、盛り上がりとなった。
このエルドアン首相の行動は、トルコ国民だけではなく、ガザの住民も刺激したようだ。エルドアン首相の退席事件の後、ガザからイスラエルに向けて、ロケットが発射され、ハマースはイスラエルに対する、抵抗を継続する意思を、明らかにしたのだ。
そのことに加え、ガザでは数千人の住民が、マハムード・アッバース議長の率いる、パレスチナ自治政府を非難し、新たな体制を創設すべきだ、と主張し始めている。この考えは、シリアのダマスカスに亡命する、ハーリド・ミシャアル氏の考えでもある。
ガザの住民は、ハーリド・ミシャアル氏の考えを支持し、大規模なデモを行ったのだ。しかも、そのデモではハマースの緑の旗に加え、赤の地に白で月と星のマークの染め抜かれた、トルコの国旗を掲げて行ったのだ。
イスラエルはトルコと深い関係にある国であり、エルドアン首相とペレス大統領との関係や、トルコ軍部とイスラエル軍部との関係が蜜であることは、既に記したが、この新しい流れは、これまでの認識を変えてしまうかもしれない。
最も親イスラエル的だった、イギリスのブレア元首相は、ハマースをパレスチナ問題の当事者として、みなすべきだと主張し始めている。
今回のイスラエル領土に対する、ガザからのロケット攻撃とデモは、イスラエルのガザ戦争の成果が、全くなかったことを、世界に強く印象付けるものと思われる。
そのことが、イスラエルをより頑なにするのか、あるいはイスラエルがハマースとの交渉を、検討し始めるのか、願わくば後者であってほしいものだ。そうでなければ、状況は悪化の一途を辿ることになろうからだ。
世の中の流れを正確に把握出来ない者は、滅びる運命を辿ることになることを、イスラエルも知るべきではないか。