イスラエル版東京ローズ?

2009年1月14日

 イスラエル軍による、パレスチナのガザ地区に対する攻撃の仕方が、非人道的という非難が、世界中で広がっているなかで、興味深いニュースが伝えられた。もちろん、戦争そのものが非人道的であり、停戦延長に応じず、ガザの住民全てが犠牲になることも覚悟した、ハマースにも非人道的と非難される、責任の一端はあるのだが。

 イスラエル兵が攻撃の前に、電話でガザの住民に対し「あなたの家は攻撃される」ということを通告したというのだ。しかも、「そこにいないでキプロスでも行って、ホテルに住んで避難生活を送ったらいい、、、、危険だ。」という内容の話をしたというのだ。

 もちろん、ガザ地区は封鎖されており、ガザ住民はキプロスどころか、西岸にも行けない状態にあるし、ホテルに宿泊する金など無いことは、誰にも分かろう。

 つまり、イスラエル兵のガザ住民に対する電話の目的は、抜き打ちでガザ住民に対し、攻撃の警告を事前にした、という証拠作りであろう。それと同時に、ガザ住民を攻撃前に怖がらせ、侮辱することが、この電話の目的ではないか、と思われる。

 取りようによっては、イスラエル兵が面白半分に電話をして、馬鹿らしい警告と恫喝をしたと、取れる内容ではないか。

 戦争は人の神経を麻痺させるというが、こうしたいたずら電話(不謹慎か)もその一部であろう。

 イスラエル側もパレスチナ側も、モラルを完全に失いかけているのではないか。それ以前に、多くのアラブの体制が、自分国民の安全を考えて、動けないということもモラルの欠落か、それとも勇気のなせる業か、あるいは自国と自国民を守りたいという一心なのか。

 否定できない事実は、イスラエルの戦争技術と、アラブのそれとの間には、あまりにも大きな差が、歴然としてしまったということだ。これでは犬死同然の戦いになるわけだから、アラブのどの国も、戦争など始めたくは無くなろう。

元気に騒ぐのは、リビアのカダフィ大佐のように、遠くに住んでいて、戦争に直接巻き込まれる心配の無い国の、元首だけなのかもしれない。