このところ毎日のように、多数の死傷者が出ていることが、ガザから伝えられてくる。しかも、世界の報道もあまりにもひどい、ガザの状況に怒りだし、相当に露骨な報道をするように、なっているのではないか。
死傷者の様子がこと細かく報じられ、映像画像がインターネットや、普通のテレビ放送でも流されている。まさに地獄絵であり、血の海と言っても過言ではない情景だ。
この結果、世界中で反イスラエルのデモが繰り広げられ、その規模は日に日に拡大しているようだ。イスラエルの国家と国民に対する世界の怒りは、ついに世界中に居住するユダヤ人に対しても、向けられるようになってきている。
このため、イスラエル非難を始めるユダヤ人が、世界各地で姿を現し始めたオーストラリアのユダヤ人たちが、イスラエル非難を始めてしばらくすると、イギリスのユダヤ人も、同様の行動を起こし始めている。
いまのところ、アメリカではあまり大きな動きは出てきていないが、そのうちアメリカでも、反ユダヤ反イスラエルの動きが表面化してこよう。そうなった場合、アメリカのイスラエル人やイスラエルはどうなるのか。
イスラエルが世界から非難され、世界中のユダヤ人が嫌悪されて行くなかで、彼らとともにあるとされる、マハムード・アッバース議長の立場も、不安定になってこよう。
マハムード・アッバース議長はいまだに、ガザとエジプトとの間にある、ラファ・ゲートの管理を引き受けようとしていない。彼に言わせれば、ハマースとの話し合いが、不十分だということになる。
マハムード・アッバース議長はラファ・ゲートの管理だけではなく、ハマースを抑えこみ、ガザを再度コントロールしたいと考えているのだ。その目的達成のためには、何人のガザの住民が殺されても、かまわないということであろう。
国連軍のガザへの派遣をめぐっても、マハムード・アッバース議長はなかなか色よい回答を、出そうとしていない。国連がガザ地区内に軍を派遣することが決定され、実際に派兵されるまでには、相当の日数が必要であろう。その国連軍派遣の決定が下されるまでの間にも、ガザの住民たちの血は流され続け、犠牲者の数は増大して行くというのに。
マハムード・アッバース議長がこうまでも非情でいられるのは、彼の地位が危険水域に入ったからであろう。ガザの住民の悲惨な状況を、西岸地区のパレスチナ人たちもよく知っている。その状況を知りながら、何も出来ずイスラエルとエジプトの顔色だけを伺っている、マハムード・アッバース議長に対する支持は相当低下しているはずだ。
1月9日に議長任期が切れたいま、誰がマハムード・アッバース氏をパレスチナ自治政府の議長として、認めているか疑問だ。イスラル、アメリカ、エジプト、サウジアラビアが、彼をパレスチナ自治政府の議長として認め続けたとしても、パレスチナ人の間では、大半が彼に愛想を尽かし、任期満了をもって議長としては認めなくなっているだろう。