レバノン南部からカチューシャ・ミサイルが、イスラエルの北部地域に撃ち込まれ、けが人が出たという情報が伝わってきた。そのカチューシャ・ミサイルの数は、3発とも5発とも言われているが、いまだ正確な数は不明だ。
このカチューシャ・ミサイルを、誰が発射したのかについても、いまだに明らかになっていない。レバノンのヘズブラも、レバノンに駐在しているパレスチナ・ハマース代表も、現段階では関与を否定しているのだ。
考えられることは、以前可能性として書いたように、シーア派のアーシューラの祭日に、ヘズブラのメンバーが本部の許可なしに、発射したというケースと、パレスチナ難民のなかの一部が、ハマースのメンバーであるか否かにかかわらず、発射したというケースだ。
しかし、パレスチナの難民で戦闘経験がある者であると仮定しても、そう簡単にカチューシャ・ミサイルを発射できるのだろうか、という疑問が浮かんでくる。加えて、3-5発ものミサイルを、彼らがどうやって入手したのか、という疑問も浮かんでくるのだ。
そう考えると、ミサイルを発射したのは、ヘズブラのメンバーの誰かであり、彼は本部の許可なしに発射した、と考えるのが妥当ではないか。
イスラエルが南部レバノンからのミサイル攻撃に、反撃したと伝えられているが、いまのところ、イスラエル側の反撃は、極めて自制の効いた範囲での、報復攻撃ではないかと思われる。
以前に書いたように、イランはレバノンのヘズブラに、イスラエルへの攻撃をしないよう、指示したものと思われ,ヘズブラが本部の方針で、イスラエルへのミサイル攻撃を、やったとは考えにくい。
今回の南部レバノンからのミサイル攻撃が、今後どうなって行くのかを見なければ、いまの段階で断定的なことはいえないのだが、楽観的な予測が許されるならば、イスラエルは戦線をレバノンにまで、拡大したくないのではないかと思われる。
レバノンのヘズブラも、政治集団に格上げされた今では、レバノン政府との合意無しに、イスラエルに対して勝手に戦争を、仕掛けることは出来ないだろうし、イランやシリアの同意無しには、ミサイル攻撃を始めることは、出来ないだろうと思われる。
南部レバノンからのカチューシャ・ミサイルの攻撃が、シーア派のアーシューラのお祭りの花火で、終わることを祈るのみだ。