ラリジャニ・イラン国会議長の微妙な発言

2009年1月 6日

 

 ガザがイスラエル軍によって、完全に包囲され砲撃と空爆によって、地獄絵図と化しているようだ。しかし、意外にいまだに、レバノンのヘズブラが動き出していない。友人は今月7日が、シーア派のアーシューラの日に当たるから、ヘズブラが攻撃を始めるとすれば、7日になるのではないか、という予想を伝えてくれた。

 しかし、実際にはヘズブラが戦闘集団から、レバノンンのれっきとした、政治集に今では格上げされたことから、軍事行動に出るには、ヘズブラなりの相当の計算をした上で、決めるのではないかという気がしてきている。

 そうしたことを考えている最中に、イランのラリジャニ国会議長の、微妙な発言が出てきた。その内容は実に微妙なものだ。ラリジャニ議長は「ハマースには十分な兵器があるのだから、単独ででも戦い抜ける、、。シオニスト(イスラエル)はガザが墓場になることを知るべきだ。」と言ったのだ。

 そして、イランの情報部門のトップの、ジャリール氏がレバノンを訪問し、ヘズブラのナスラッラー師と会談し、シリアを訪問しアサド大統領とも会談している。この中で何が語られたか、核心部分は伝えられていないが、当然、ガザに対する対応をどうするか、ということであったと思われる。

 あくまでもかんぐりに過ぎないが、ジャリール氏はヘズブラのナスラッラー師に対して、イスラエル攻撃をするな、と言ったのではないか。そしてシリアのアサド大統領に対しても、同様にイスラエルに手を出すな、と言ったのではないかと思われる。

 誰が考えても、しレバノンのヘズブラがガザの戦闘に呼応して、イスラエルを攻撃することになれば、2006年の戦争以上にダメージを受けることになろう、政治集団に格上げされたヘズブラは、レバノン国家そのものに責任ある立場になったのだから、単なるゲリラ組織のような行動は許されまい。

 加えて、シリアが軍事行動に出れば、イスラエルはまさにチャンスとばかりに、シリアに対する大空爆を、敢行するであろうこと予測できる。そうなれば、その次に攻撃されるのはイランであり、イランはなんとしても、イスラエルとの戦端を開きたくない、ということではないのか。

 その推測が正しければ、ガザの住民とハマースは、苦しい戦闘をまだ継続しなければなるまい。そのガザの苦しみに対して、軍事行動で支援できるアラブの国は、ひとつもないということだ。ガザで多数の死傷者が出ているが、エジプトはいまだに本格的には、ラファのゲートを開いていない。

 アラブ外交団が安保理に対して、ガザの停戦に動き出したのは、イスラエルによる空爆が始まって、10日後のことだった。誰もがイスラエルと、その後ろ盾になっているアメリカに、戦争を挑む気はないということであろうか。