虐殺の時は近づいた、パレスチナ人にもイスラエル人にも

2009年1月 4日

 

 イスラエルの陸軍が、ガザとのボーダー近くに集結したのは、数日前からだったが、ついに戦車群や大砲が、火を吹き始めたようだ。ガザ地区に侵攻してはいないが、実質的には軍事侵攻が始まった、と言ってもいいのではないか。

 問題はガザに、イスラエル陸軍が侵攻した場合、市街戦になることから、一般人も巻き添えにせざるを得ないだろう。誰が戦闘員で誰が戦闘員でないかの、区別はつけにくいことから、実質的には無差別の虐殺が、始まるということだ。。そのことの難しさは、ベトナム戦争でもイラク戦争でも、アメリカ軍が散々経験してきたことだ。

 パレスチナ側は大人も子供も、女も男も全てが、イスラエルと戦う覚悟だろう。エジプトがガザ・ゲートを閉鎖したままである以上、彼らは逃げ場がないのだから、そうならざるを得まい。まさに総力戦ということか。

 そうなると、イスラエル軍側は相当数の、死傷者を出さざるを得ないだろう。その死傷者の数を、出来るだけ少なくするには、イスラエル側は無差別の空爆を継続し、ボーダーからの無差別の砲撃をせざるを得ないだろう。

 結果的に、ガザに多数の死傷者が出、建物の多くが破壊された後で、イスラエル軍が侵攻して行けば、イスラエル側の死傷者は、少なくてすむかもしれない。しかし、そのことはイスラエルが世界から、非難されることに直結していよう。

 ブッシュ大統領はハマースを非難し、イスラエルの空爆を支持する発言をした。オバマ次期大統領は、沈黙を守り続けている。だが、世界の良心はアメリカだけが、代表しているわけではない。ヨーロッパも中東も、アフリカもラテン・アメリカも、東南アジアも世界の世論なのだということを、イスラエルは忘れるべきではなかろう。

 戦争は勝者も敗者も、結局は敗れるということを、イスラエル国民と政府は、今こそ考えるべきではないのか。世界がユダヤ人にとって住みにくくなることが、どれだけ今後のユダヤ人にとって、苦しいものになるのかを、想像してみるべきだろう。世界がホロコーストの、新たな舞台にならないことを祈る。