イスラエルは両面作戦、三面作戦を覚悟か

2009年1月 2日

 

 イスラエルの動きが、緊急性を増してきている。ガザにいる外国人に対し、ガザから出るように呼びかけた。そして、彼らのために、エレツのゲートを開いた。しかし、パレスチナ人の重傷者を、通すことは拒否している。

 このイスラエルの措置は、ガザに対する本格的な、陸上攻撃を開始する、ということではないのか。イスラエルの陸軍はすでに、ガザのボーダーに集結しており、バラク国防相の命令があれば、いつでもボーダーを越え、ガザに侵攻できる状態になっている。

 レバノンのヘズブラによる、ガザの住民を支援する軍事攻撃が、イスラエルに対して行われる危険性を、エジプトのムバーラク大統領とトルコのエルドアン首相が、予測し警告している。そのことを受けてか、イスラエルが占領している、ベール・シェバに入植しているイスラエル人に対し、イスラエル政府がベール・シェバから出るように、指示したようだ。

 西岸でも変化が起こり始めている。西岸地区の住民の多くが、ハマースを支持し、ガザの住民との連帯を叫び始めている。そこでは、すでに、ファタハに対する支持の声は聞こえなくなり、マハムード・アッバース議長への支持も、ほとんど聞こえなくなっているのではないか。

 エルサレムに居住する、イスラエル国籍を有するパレスチナ人が、イスラエル政府に対する非難と、ガザ住民に対する支持のデモを行い、イスラエル警察との間で衝突を起こしている。

 これは、西岸全体に大きな影響を、与えるものと思われる。なぜならば、エルサレムに住む、イスラエル国籍を有するパレスチナ人に対し、西岸のパレスチナ人たちは、これまで裏切り者という見方をし、見下してきていたからだ。

 同時に、このエルサレムでのデモは、イスラエル国内に居住している、イスラエル国籍を有するパレスチナ人にも、大きな影響を与えるものと思われる。

 つまり、いまイスラエルはガザのパレスチナ人、西岸のパレスチナ人、レバノンのヘズブラという三方向からの敵との戦いを、覚悟したということではないのか。そのような狂気とも言える選択を、イスラエル政府が下したのは、イスラエル国民の抱く将来への、強い不安の結果であろう。その不安を創り上げたのは、イスラエル政府とイスラエル国民自身ではないのか。

 イスラエルの政治家たちは、自党への支持取り付けや、自分への支持集めのために、戦争という手段を、安易に選択すべきではない。アメリカ軍は緒戦において、完勝したにも拘らず、イラク国内の占領には、4000人を超える死者を出すという、多大の犠牲を払っているのだから。他者の失敗から学ぶ賢明さを、イスラエルの人たちに、強く呼びかけたい。