ロシア製のS-300ミサイルの、イランへの供与をめぐり、情報が交錯している。
イランはロシアがS-300を、既にイランに供与したと語り、すでに使用可能な状態になりつつある、という報道をしている。
他方、イスラエルはロシアのS-300が、いまだにイランには送られていない、とイランの報道を否定している。当然と言えば当然であろう。
このS-300ミサイルが、イランによって配備されれば、イスラエルが想定している、イランに対する先制空爆攻撃が、非常に危険なものになるからだ。
S-300ミサイルは、地対空型のミサイルであり、150キロ離れた目標を撃墜できる、性能を持っているということだ。当然のことながら、イスラエルはS-300ミサイルを、イランに供与しないよう、ロシアに対するロビー活動を続けてきていたが、イラン側の働きかけの方が、勝利したということであろう。
ロシアがイスラエルのロビー活動を撥ねつけ、イランに対し今回、S-300ミサイルの供与に踏み切ったのは、経済的理由が第一にあり、第二には中東地域への再台頭、ということではないのか。ロシアはこのほかにも、対空防衛システムのTor-M1システムを、イランに供与している。
また、ロシアは世界的に問題視され、アメリカとイスラエルが怒りを顕わにしている、核開発の最大の支援国でもある。
ロシアは中東地域に対しいま、何を考えているのかを、真剣に分析する必要があるのではないか。