パレスチナ自治区のマハムード・アッバース議長は、ことのほか外国旅行が好きなようだ。そのことをめぐって、イスラエルのエルサレムポスト紙と、アラブ語の汎アラブ紙アルハヤートが、以下のような内容の記事を書いている。
マハムード・アッバース議長が頻繁に、外国を訪問すること自体は、外国援助で成り立っているパレスチナ経済を考えれば、外国からの援助を獲得するためのものとして、パレスチナ人も不満はないのだろうが、どうも最近、パレスチナ人の間にマハムード・アッバース議長に対する、不満が膨らんできているようだ。
それは、マハムード・アッバース議長が西岸地区最大の都市である、ヘブロン(ハリール)には全く足を踏み入れていないからだ。そればかりか、ジェニンやカルキリヤ、トルカラムなどといた主要都市にも、ほとんど訪問していないからなのだ。
マハムード・アッバース議長の取り巻きに言わせれば、「マハムード・アッバース議長の外国訪問は、パレスチナ問題を各国に説明し、援助を引き出す上で重要な活動だ。これはアラファト議長も行っていた。」ということになるのだが。
しかし、アラファト議長とは異なり、マハムード・アッバース議長は、和平交渉を全く前進させていないし、ガザ地区を失ってもいる。しかもガザ地区はその後、ハマースが完全に牛耳り、マハムード・アッバース議長は影響力を、全く行使できなくなっている。
マハムード・アッバース議長に近い、アルアッヤーム紙の記者は彼の西岸地区での、各都市の訪問活動が活発でないことは、来年1月の任期切れを控え、よくない傾向だと批判している。彼によれば、マハムード・アッバース議長は頻繁に、西岸地区の主要都市を訪問し、地域が抱えている問題解決に、努力すべきだというのだ。
そうでなければ、もしパレスチナ自治区議長選挙を実施した場合、マハムード・アッバース議長が、敗北することも予想されるということだ。パレスチナの選挙でも、日本の選挙と同じような、ドブ板選挙の部分があるのだろう。アラファト議長はその点では、大衆の心をつかむ天才であったのだろう。天才とは努力の積み重ねでもあるのだが。
*マハムード・アッバース議長は、議長選挙を行わない可能性があるし、実施する場合は不、正選挙となろうことが予測される。