ラフサンジャニが米イラン危機状況で再登場

2008年12月10日

 ハ-シミ・ラフサンジャニ師といえば、イランを代表する宗教学者としても、政治家としても辣腕をふるった人物であり、世界的に知られている人物だ。

彼はアメリカとの関係を、なんとかうまく切り抜けた経験を有している、数少ないイランの大統領経験者といえよう。そのハ-シミ・ラフサンジャニ師がここにきて、アメリカ・イラン関係の悪化の中で再登場してきている。

 彼はオバマ次期大統領に対して、ブッシュ大統領と同じ路線を選択すべきではないと語り、オバマ次期大統領をけん制している。

 加えて、彼はオバマ次期大統領がイランに示した「人参と鞭」の提案について「イランはアメリカからインセンテイブを与えてもらう必要はないし、制裁を受けたくもない」と語った。

 アメリカとの戦争の可能性については、「イランがアメリカとの間で戦争をするつもりはない」と否定し、イランはあくまでも、自分の両足で立ちたいだけだと語っている。

 このハーシミ・ラフサンジャニ師については、幾つものエピソードと噂がある。彼はアメリカとの間に、太いパイプを今でも有している、と言われている。また、彼の娘はサウジアラビアなど、親米諸国の首脳とも親しい関係にあり、秘密外交を展開しているのではないか、といわれもした。

 そのハーシミ・ラフサンジャニ師が、この段階で登場してきたということは、アハマド・ネジャド大統領だけでは、イランは難局を乗り切れない、と判断したからではないか。

 もちろん、現段階でハーシミ・ラフサンジャニ師は、イランが核開発を放棄するといった、妥協的意見は全く述べていない。しかし、何らかの新たな提案が、アメリカ側に出される可能性があるのではないか。

 最近、アメリカ側からも議会議員が、イランを訪問したが、イラン側との間で何が語られたのか、真相は全く伝えられていない。アメリカの議会議員二人が、連名でイラン議会にあてた書簡に対する返事が、ラリジャニ議長から送られてくるのかも、関心がもたれている。