アフガン向け輸送トラックなど160台放火されたということ

2008年12月 9日

 

 パキスタンは述べるまでもなく、アフガンに駐留する多国籍軍の、重要な補給拠点になっている。パキスタンの北西部アフガニスタンに近いペシャワールからは、大量の物資が毎日、大型輸送トラックが列を連ねて、アフガニスタンの首都カブールに向かっているのだ。

  こう説明すると、誰にもペシャワールの輸送センターが、いかに重要か分かろう。アフガニスタンに駐留する各国の軍隊にとって、まさに生命線、命綱の拠点だ、ということがわかろう。そして、そこからアフガニスタンのカブールまで、物資を運ぶ輸送トラックと、その運転手たちの重要性もわかろう。
 輸送トラックは険しい山岳道路を行くだけではなく、ゲリラに襲われ物資を奪われるばかりではなく、命を奪われることもあるのだ。まさに命がけで、トラック野郎たちががんばっているのだ。

 ところが、このペシャワールの輸送センターで、とんでもないことが、12月7日未明に起こっている。このことは、一部で報道されており、日本人のあいだでも知られているだろう。しかし、この出来事の重要性には、あまり関心を払わないだろうし、気がつきもしなかったのではないか。

 そこで、あえて簡単な解説をすることにした。160台の輸送トラックをはじめとする車両が駐車場に駐車していたのを襲撃され、燃やされてしまったというのだ。その結果、誰が考えてもわかることだが、100台を超える輸送トラックが無くなったということだ。

 結果的に、アフガニスタンのカブールに送られる物資は、その分だけ減ることになるということだ。

輸送トラックが襲撃されるのは、駐車場だけではない、前述の通り、カブールへの途上でも、襲撃されたり放火されたり、荷物が奪われるということは頻発しているのだ。

 こうした今回のような大掛かりなテロが、カブールへの途上の山岳地帯の路上ではなく、ペシャワールの街の中の、駐車場で起こるようでは、治安の維持状況がすこぶる悪い、ということであろう。つまり、アメリカ軍をはじめとする多国籍軍が追い込んでいるはずの、タリバンがここまで勢力を、拡大してきているということだ。

 アメリカ軍側は「損害軽微」と大本営のような発表をしてはいるが、アフガニスタンに駐留するアメリカ軍の物資の、75パーセントはこのペシャワールから、運ばれているのだ。これから先、この輸送トラック群が通過するカイバル峠は、本格的な冬を迎えることになるのだ。それは、トラックのスピードが落ち、襲撃する側にとっては、隠れやすいし襲撃しやすいということだ。

 アメリカ軍をはじめとする多国籍軍が、食糧不足に陥り、武器弾薬不足に陥る、といった状況も発生しうるのではないか。