ついに飛び出してきた石油価格25ドル以下説

2008年12月 5日

 一時期は石油価格が、1バーレル200ドルにも達するのではないか、と思われていた。そうなれば、世界の経済は大混乱に直面する、と予測する専門家もいた。

 しかし、今年の年末を迎えるにあたり、石油価格はどんどん値下がりし、その影響があらゆるところで出始めている。金の価格が700ドル台にまで下がり、もっと下がるのではないかという予測もある。

 一部には、こうした動きはアメリカの一部金融資本による陰謀であり、やがて金の価格は暴騰する、ということを主張する人たちもいる。実際には金崇拝傾向の強い中国での、金の取引が減じていることや、世界的な景気後退による、ぜいたく品への志向が、低下しているためではないのか。

 石油価格の値下がりは、最も金を志向する湾岸諸国にも現れ、各種開発計画が頓挫し、企業が倒産の憂き目にあっている。企業の売り逃げや、株の売り逃げに失敗した人たちの多くは、その処理に膨大な資金が必要になることから、夜逃げ同然の状況に、追い込まれていくのではないかと思われる。

 OPEC諸国は石油価格の値下がりを前に、減産を決めかねており、減産、増産、現状維持の情報が飛びかっている。

 OPECにとって大きな痛手だったのは、大口の石油消費国である、中国の経済減速であろうか。石油以外のエネルギー源を持たない中国は、これまで大量の石油消費を予測し、世界中で石油の確保に狂奔してきていた。

しかし、ここにきて景気の後退から、石油の買い付けへの意欲を低下したようだ。加えて、アメリカも景気後退期に入り、石油の輸入を控え、その他の国々も同様の方向にある。

結果は、石油価格が今年末までには、1982年以来の25ドル以下に、値下がりするのではないかという予測すら出てきているのだ。

OPECは12月17日、アルジェリアで会議を開催し、減産を討議することになっているが、それが成功するか否かによって、全く異なるシナリオを書かなければならないということであろう。

それは消費国にとっても、産油国にとっても同様であろう。世界の様相は、これまでとはかなり異なる状況に向かって、進むということであろうか。日本は異常なまでの円高と、石油価格の値下がりで、この不況からある程度救われるかもしれない。将来については、明るく考えられる者が勝ちかもしれない。