このところ、エジプトではムスリム同胞団を中心に、大量逮捕が続いている。それがいったい、何を意味するのか推測してみたい。
11月25日:エジプトでムスリム同胞団の大量逮捕というニュースが、サウジアラビア系のアルハヤート紙が報じ、同日アッサフィール紙も伝えている。
11月27日:ヨルダン・タイムズ紙はガザ問題でエジプトの学生がデモをし、警官と衝突したというニュースが伝えられている。
11月28日:ヨルダン・タイムズ紙はエジプト警察がムスリム同胞団メンバーを、10人逮捕したと報じている。
11月30日:ヨルダン・タイムズ紙はエジプトンのリビアに近い街メルサマトローフと、アレキサンドリアでムスリム同胞団メンバー28人が逮捕された、というニュースを伝えている。
これら一連の逮捕、学生と警察の衝突は何を意味しているかといえば、エジプト国内の不満が、あるレベルを超え、何時本格的な暴発に繋がるか、わからない状態に達している、ということではないか。
そのため、エジプトの警察は事前に、危険分子を逮捕したり、少しの動きでも、敏感に反応して、逮捕拘束に向かうようになった、ということではないか。
ガザからのハッジージ(巡礼者)が、エジプトとサウジアラビアのために、ハッジを出来なくなった、とガザを支配するハマースは発表したが、これも今後、ボデー・ブローのように、エジプトやサウジアラビア政府に対し、効果を出してくるのではないか。
こうした問題は、その事実がどうかというよりも、感情的に反応するのだ。ハマースはそのことを、狙った可能性があろう。
宗教的義務の遂行を阻止した、エジプトとサウジアラビアの体制は、それぞれの国の中の反体制派に、新たなエネルギーをもたらす、可能性があるということだ。
不安定の素地は、経済の困窮によって出来上がっている。それに輪をかけるような出来事が、アラブでは続いているのだ。そして今回は、宗教がそのひとつに、加わったということのようだ。