イスラム教徒にとってハッジつまりサウジアラビアのメッカへの巡礼は、礼拝や断食などと並ぶ、重要な宗教義務だ。
そのハッジが12月に行われるのだが、これをめぐって、パレスチナのファタハとハマースとの間では、主導権をめぐる、争いが起こっている。
ガザをコントロールしているハマースは、サウジアラビア政府に対し、ハッジ・ビザを出すように要請しているが、いまだに発効されていないようだ。
サウジアラビア政府の説明では、パレスチナを代表する政府は、ファタハのマハムード・アッバース議長がトップに立つ、パレスチナ自治政府であり、ガザをコントロールしている、ハマースではないということなのだ。
ハマースはエジプト政府に対しても、ガザとエジプトとをつなぐ、ラファ・ゲートが開かれていないと非難しているが、エジプト政府はゲートは開かれているが、ガザから人が来ない、ということのようだ。一説によれば、ハマースがパレスチナ自治政府の指揮の下に、ハッジに行く人たちを、阻止しているということだ。
ハマースは何とか、ハッジというイスラム教徒にとって、最も重要な宗教イベントで、パレスチナ人を引き止めたいことから、こうした問題が起こっているのであろうが、やりようによっては、逆にハマース離れを起こしかねない、微妙な問題のようだ。
ハマースが宗教を基礎にしている、組織であるがゆえに、仕方がないといえば仕方がないのだが、やはり個別に判断して、対応すべきなのではないか。