11月初旬で、イスラエルとガザを統治しているハマースとの間の、停戦期限が切れたようだ。したがって、イスラエルは遠慮なく、ガザを攻撃することが、出来る状態になったということだ。
この停戦期間中に、ガザから発射されたミサイルの数は、相当なものになるようで、500発とも600発とも報告されている。したがって、イスラエル側には、相当のフラストレーションがたまっているようで、マタン・ビルナイ国防副大臣は、早期のガザに対する、本格的な軍事侵攻を、口にし始めている。
ガザからのミサイルは、イスラエルの南部の港町、アシュケロンまでもターゲットに出来る、レベルにまで向上している。このままの状況が続けば、近い将来には、ガザから発射されるミサイルは、もっとイスラエルの内奥までも、攻撃できることになろう。
ガザとエジプトとをつなぐ、秘密の地下トンネルが何本も掘られており、ハマースやジハードなどのパレスチナ組織は、ミサイルの部品の搬入に、あまり苦慮していないのではないか。
問題は、イスラエルの本格的なガザに対する、軍事攻撃が起こった場合、エジプトがどう対応するかだ。現在の段階では、イスラエル側とエジプト側が、完全にガザのゲートを閉鎖しており、ガザの住民は外部に、出られないようになっている。
そうした中で、軍事攻撃が行われれば、パレスチナ側に多数の犠牲者が出る、ということになろう。当然のこととして、西岸地区のパレスチナ人たちが、これを放置するわけはなかろう。
マハムード・アッバース議長は、リップ・サービスとしては、ガザに対するイスラエルの攻撃を非難しようが、本心ではない。結果的に、マハムード・アッバース議長に対する、西岸のパレスチナ人からの非難が高まろう。
他方、エジプトでも国民は、ガザのパレスチナ人虐殺を放置したとして、政府に対する非難が高まり、国内状況はきわめて不穏になるのではないか。そうでなくても、不満がたまりにたまっているエジプトでは、正当な口実さえ見つかれば、暴発は容易に起こる、と考えたほうがよかろう。
エジプトのムバーラク体制と、パレスチナのマハムード・アッバース体制を、窮地に追い込む可能性の高い、イスラエルのガザ侵攻は、果たしてイスラエル政府にとって、得策なのだろうか、という疑問が沸くのだが。
イスラエル国内には、与党内部にでさえ、意見の対立が目立ち、ツビ・リブニ次期首相候補と、リクード党のネタニヤフ党首との関係は劣悪だ。与党を構成するオルメルト首相と、ツビ・リブニ次期首相との間でも、いさかいが起こっているのだ。
イスラエルが国内問題のはけ口に、ガザを本格的に軍事侵攻するとなれば、それだけの危険を覚悟しなければなるまい。その際には、ガザのパレスチナ人も、決死の抵抗をするであろうことから、イスラエル兵の犠牲者も少なからず出ることだろう。
もっと危険なのは、国民の非難を受けて、エジプトがイスラエルと、軍事緊張を起こすことだ。事態は好転してはいないようだ。