カイロ大学学生デモ警官と衝突

2008年11月28日

 

 エジプトでは学生が大学構内で、デモ行進をする分には黙認されてきた。その範囲であれば、エジプト国民に対する影響が、大きくないと政府は判断しているからだ。

 しかし一旦、学生デモが大学構内から出ると話は別で、警官隊が棍棒で殴り、催涙弾を乱射して、デモを粉砕するというのが、常套の対応となっていた。そして、そのことを熟知している学生たちは、自分たちの政府に対する抗議の意思が伝わり、かつ安全な範囲で、構内デモがこれまで、何度となく繰り返されてきている。

 ところが、今回はどうやら様子が違うようだ。ガザが封鎖され、パレスチナ住民は食糧不足、燃料不足、薬品不足のなかで、苦しんでいることに対し、エジプト政府がエジプト国民の援助物資を、ガザに送り込むことを、許可していないからだ。

 先日も、エジプトのムスリム同胞団が援助物資を満載したトラックを、ガザ地区に乗り入れようとしたところ、エジプトの警察がこれを阻止し、ガザへの援助物資の搬入を、認めなかった。このため、エジプトの学生たちは、政府がイスラエルによる、ガザ住民に対する制裁を、支持しているとして、不満を高めていた。

 そして、ついにカイロ大学で数百人の学生が集結し、政府に対する抗議デモがはじめられ、カイロ大学の構内から街頭に出て、デモが行われることとなった。当然ことながら、これに対し政府は、機動警察を送り込み、デモの粉砕に取り掛かることとなった。

 警官隊は棍棒でデモに参加している学生を殴り、9人が負傷するという事態に、発展したということだ。

 このカイロ大学を起点に起こった街頭デモについて、エジプト政府はムスリム同胞団のメンバーによるもの、としているようだが、必ずしもその限りではあるまい。 

 問題はこのデモがきっかけで、今後、エジプト全土で似たようなデモが、起こるか否かだ。もし、そのような事態になれば、その先には何が起こるか分からない。つまり、エジプト社会はそれだけ、現段階では不満が充満してきている、ということではないか。