オルメルト首相の訪米の隠された目的

2008年11月26日

 来年の2月に退任することが決まっている、イスラエルのオルメルト首相がアメリカを訪問し、これまた、来年の1月に退官が決まっている、ブッシュ大統領と会談を行っている。

 間もなく表舞台から去る二人が、なぜこの時期に会う必要があるのか、ということがマスコミで囁かれていたのだが、どうやらとんでもない話し合いが、オルメルト首相の訪米中に行われていたようだ。

 イランのプレス・テレビの伝えたところによれば、オルメルト首相はアメリカ訪問時に、ブッシュ大統領だけではなく、ライス国務長官やチェイニー副大統領とも、話し合ったというのだ。

 そうなれば、主題は一つに絞られるということになろう。「イランに対するイスラエルの対応協議」ということになるのだ。まさにその通りのようで、このイランのプレス・テレビが報じたところによれば、オルメルト首相がイスラエルの安全確保のために、イランに対しあらゆる選択肢があること、つまりイランに対する軍事攻撃についても、アメリカ側は認めたということだ。

我々日本人からすると、異常としか思えないのだが、イスラエルはイランが核開発を進めているのは、エネルギーの確保ではなく、あくまでも核兵器の開発にあるとしていることから、イスラエルの政治家がイランに対して、軍事攻撃を希望することは、当然なのかもしれない。

そして、イスラエルはアメリカから、イランに対する先制攻撃への許可を得た上で、攻撃を開始し、しかも、アメリカがイスラエルの攻撃を機に、参戦してくれることを望んでいる、ということであろう。

アメリカの次期大統領オバマ氏は、すでにイランとの間で、対話を行う方針を固めているようだが、必ずしも彼が考え、望んでいるような方向に、事態は進まないかもしれない。

これまで、イスラエルがイランに攻撃を加えるとすれば、オバマ氏の就任前か直後、という予測がなされてきた。ここにきて、オルメルト首相が訪米し、このイランに対する先制攻撃の、フリー・ハンドを得たということは、イランとの交渉を有利にするためのものなのか、本気で戦争をする気なのか、いずれにしても、イスラエルはイランとの関係で、冗談ではな、いぎりぎりの段階に突入したということではないのか。