イスタンブール大学長の英断?

2008年11月24日

 

 トルコとイスラエルの関係は、非常に良好であることは内外に知られている。トルコはイスラエルに取って、中東諸国のなかで唯一心を許せる相手国であろう。

 しかし、先週の土曜日に、どうもトルコとイスラエルとの関係がおかしいのではないか、という出来事が起こっている。それは、言ってみれば他愛のないことのようなのだが、実はそうでもないかもしれない。

 ことの起こりは単純で、在トルコ・イスラエル大使とイスラエル領事が、先週の土曜日の午後3時半に、イスタンブール大学の学長を訪問したときに起こった。

 イスタンブール大学の学長は、快くイスラエル大使と領事を迎え入れたのだが、2名の招かれざる随行者がいた。学長はその二人は誰かと問いただしたところ、返事はイスラエル大使の「ガード」というものだった。

 そこでイスタンブール大学の学長は、二人のガードが会談に同席することを拒否したところ、この会見は反故になってしまったということだ。

イスタンブール大学の学長は「それほど怖いのであれば、何故わが大学を訪問したのか、ここは占領地ではない、トルコ共和国であり、イスタンブール大学だ。」とイスラエル大使に語ったということだが、きわめて理路整然とした説明、ということではないか。

 イスタンブール大学の学長の対応について、イスラエル紙も賛意を示している。確かに、イスタンブール大学構内での安全の保証は、大学側の責任であり、イスラエル側が占領地で行うような、勝手な振る舞いは、許されないというものだ。

 これとは少し趣が異なるが、オクスフォード大学でも、シモン・ペレス大統領が訪問した折に、学生たちが「戦争犯罪人」として、シモン・ペレス大統領を非難する、という出来事が起こっている。

 イスラエルの異常なまでの安全に対する配慮は、相手国にとって、不愉快極まりないことは事実であろう。同様なことは、日本でも起こっているのだ。

 在日イスラエル大使館に入るには、非常に厳しいチェックを受けるし、大使館の外でイスラエル大使と会食をする際には、そのレストランが事前に、イスラエル側の治安要員によってチェックされ、その後もガードが立ち会うのが常だ。

 大統領をはじめとする要人のガードは、目立つ方がいいとするアメリカ方式があるが、国によっては、不愉快だと受け止める場合もあることを、イスラエルは考慮すべきであろう。そうでないと、折角の理解者を、失うことに繋がる懸念があろう。